スポーツチームの「集客施策」は、小売業やサービス業でも応用が利くはず。今月は人口約370万人の横浜市をホームタウンとするJ1の横浜F・マリノスの集客術について聞いた。

ライバルはショッピングセンターやテーマパーク
横浜F・マリノスのホームタウン人口は、横須賀市も含めると約410万人に上る。来場者の約7割は神奈川県。ほか東京都から2割、その他地域から1割だ。「市内でF・マリノスのことを知らない人はほとんどいないと思いますが、試合を見に行ったことがあるという人は人口の約17%程度。ライト層の取り込みとアップセルが課題です」そう話すのは、クラブ運営会社・横浜マリノスの永井紘担当部長(FRM事業部)だ。
集客人数は対戦カードや戦績によって左右されやすいため、試合の勝ち負けによらずスタジアムに来てもらうためのきっかけづくりが必要だ。そこでF・マリノスでは、来場者や市民のサッカー観戦に対する意識をつかむためにアンケート調査を行っている。
「ファミリー層なら意思決定者は女性である場合が多いことがアンケート調査からわかりました。また、横浜市民を対象に行った実態把握調査では、『サッカー観戦をレジャーのひとつとして捉えている』という回答も目立ちました。そのため、大型のショッピングセンターやテーマパークを競合として捉えています」(永井氏)
ラジオで新規顧客開拓
調査の結果をもとにした施策にも取り組む。ラジオショッピングもそのひとつだ。もともとホームゲームでのスタジアムDJを務める光邦氏が主婦や若者に人気があることから、同氏が出演するラジオ番組『tresen+』で、2010年からコーナーを設けた。
「Web広告に投下する予算も増えてきましたが、ラジオや雑誌のようなマスメディアも重要です。とくに横浜では、FMヨコハマの影響力が大きい。一度も聞いたことのない市民はいないのではないでしょうか。主婦や若者にも人気のDJの番組で紹介してもらうことで、新たな客層にリーチができると考えました」
ラジオショッピングでアピールしているのは、日産スタジアムのピッチレベルを歩いて見学できる「トラックウォーク」付き観戦チケットとお弁当とグッズをセットにしたパッケージ商品(税込み3000円)。効果検証をしやすくするため ...