販売促進の専門メディア

経営トップ 販促発想の着眼点

全国2785人の建築家をネットワーク 新ビジネスモデルで住宅文化を創造

ユニークかつ効果的なプロモーションを展開する企業のトップに、どのような視点で販促を考え、展開しているのかを聞く。

代表取締役 丸山雄平氏
明治大学商学部卒業。1981年三谷商事入社。96年夢建人を設立。2007年アーキテクツ・スタジオ・ジャパンの社長に就任し現職。60歳。福井県出身。

施主、建築家、工務店三方良し目指す事業

建築家の設計による家づくりは、これまで富裕層などに限られていた。しかし、ハウスメーカーが供給する住宅よりはオリジナリティを求めたい――そう考える人が増え、建築家が活躍するフィールドが広がりそうだ。

需要を広げる仕組みを作り、事業を拡大しているのが、東京都港区に本社を置くアーキテクツ・スタジオ・ジャパン(ASJ)だ。

同社は施主・建築家・工務店の三者をつなぐ全国規模のネットワークを構築。3者がwin-win-winとなる関係を作り、2002年の設立以来、事業を拡大してきた。年商は、2016年3月期が約13億円。2013年12月には東証マザーズへの上場を果たしている。

アーキテクツ・スタジオ・ジャパンの丸山雄平社長は、「イタリアのパドヴァ州は約100万人の人口ですが、およそ2000人の建築家が活躍していて、あたかも“町医者”のような存在です。対して日本では、建築家はこれまで特殊な職業として捉えられることが多かったのではないかと思います。『建築家』が広く市民権を得るような活躍をしてもらいたい思いで、事業を展開している面もあります」と話す。

ASJに登録しているのは、2016年11月現在で2785人。丸山氏によれば、日本建築家協会の会員数(約4000人)から考えて、日本には7000人~8000人ほどの建築家がいるという。

建築家に対して登録を促す施策などは行わず、紹介を中心に登録者が増えた。登録者には、海外の建築アワード情報を提供したり、イタリアの建築専門誌『CASABELLA(カザベラ)』を無料送付するといった特典があるという。

施主は手付け金不要無料で建築家に相談

従来、施主は着工前のプランニングの時点で、建築家や工務店に手付け金を支払うことが一般的だった。一方、ASJの仕組みでは、建築家が提案したプラン(コストやデザインなど)を気に入れば設計契約となり建築費用を支払う。

丸山雄平氏は、こうした新しい家づくりの仕組みを構築した背景について次のように話す。

「あくまで個人的な感覚ですが、ハウスメーカーで家を建てて、そのことを自慢げに話している人はいないような印象がありました。一方、建築家に依頼して家を建てた人は、その建築家が無名でも、建築家に依頼したことを自分の思いも含めて他人に話しているのではないかと考えました。建築家に依頼することはストーリーが生まれやすく、施主にとっても納得感・満足感が高くなります。こうしたことを考えたとき、一般の人でも建築家に対するニーズは大きいと判断しました」

全国約200カ所のスタジオに対しイベント運営をサポート

建築家に設計を依頼したいと考えている人たちの会員組織「ASJアカデミー会員」は約5万人。

一般に、施主は建築家との打ち合わせにかかる交通費を負担するが、ASJアカデミー会員はその必要がない。これまで、施主にとって建築家の交通費は負担となっていたが、それを解消したことで、建築家に依頼しやすくした。また、普通の人が建築家に設計を依頼しようと思い立っても、建築家と出会う機会はほとんどない。

そこで、ASJは全国のおよそ200カ所のスタジオ(ASJに加盟している全国の工務店が運営するサロン)と協力し、工務店主催による、建築家と施主を結びつけるイベントを、年間500回の規模で開催している。

イベントには、全国から毎回7人~8人ほどの建築家が参加。会場にブースを構え、得意とする家づくりを来場者へアピールする。こうすることで、来場者は会場にいる建築家と、予算やプランなどについて相談できる。来場者の世代は、スタジオにより異なるが、基本的には20歳代~70歳代までと幅広い。

来場者の集客は、イベントを主催するスタジオが地元の顧客に対して対面、チラシ、ポスター、ダイレクトメールなどで行うのが基本だ。イベント運営に不慣れなスタジオには、ASJが必要に応じて、イベントの運営ノウハウ(開催時期の決定、会場設営や運営方法など)を提供し、サポートする。

2016年、東京・丸の内に建築家情報の提供や、建築関連イベントを開催するスペース「ASJ TOKYO CELL」をオープンした。丸の内というロケーションに位置することから、ASJのブランディングにも大きな役割を果たしている。

特別編集の雑誌をASJアカデミー会員に無料送付
ASJが編集・制作する月刊雑誌「A-Style」は、会員が建てた家や暮らしぶり、注目建築家の記事などを載せる。丸山氏は「家を建てたいと思っている人には、雑誌を読んだり、建築家と相談しながら、じっくりと家づくりについて考えてもらいたい」と話す。

「スタジオ」でのイベント
全国約200カ所の「スタジオ」(ASJに加盟している全国の工務店が運営するサロン)では、建築家と家を建てたいと考えている人とをつなぐイベントを、年間合計で約500回開催している。来場者の集客は、基本的にイベントを主催するスタジオが行う

ASJ TOKYO CELL
2016年に設置。建築家情報の提供や住宅建築に関するイベントを開催する。東京・丸の内という一等地に位置し、ASJのブランドを高めている。

サイトを抜本的に見直しAlexaの総合評価が急上昇

ASJアカデミー会員の募集は ...

あと29%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

経営トップ 販促発想の着眼点 の記事一覧

全国2785人の建築家をネットワーク 新ビジネスモデルで住宅文化を創造(この記事です)
地元では圧倒的知名度 指名買いされるブランドに
『眠りの技術』で健康管理をサポート
開業医のプロモーション支援で調剤薬局の利用者を拡大
高付加価値パンで市場開拓 「日本一高いパン」の挑戦

おすすめの連載

特集・連載一覧をみる
販促会議Topへ戻る

無料で読める「本日の記事」を
メールでお届けします。

メールマガジンに登録する