TCC賞2023最高新人賞インタビュー
自身の「面白い」という感覚を追求しブランドならではの表現を見出す
波間知良子(サン・アド)
7月7日、2023年度のTCC新人賞が発表された。本年度は多数の応募者から、最高新人賞1人、新人賞17人が選ばれた。最高新人賞を受賞したのは、青森県のブランド米「青天の霹靂」の広告を手がけた波間知良子さんだ。
米袋をファッションアイテムに
私がコピーライターという仕事を知ったのは、高校生の頃でした。言葉だけで何かを変えられるってすごいなと感じて、当時の担任の先生に「こういう仕事がしたい」と話したのを覚えています。大学に進学してもその想いは変わらず、宣伝会議のコピーライター養成講座を受講するなどコピーの勉強をし、新卒で日本デザインセンターにコピーライターとして入社しました。
日本デザインセンターでは当時、若手社員は公募広告賞に応募するという文化がありました。学生の頃から旅行が好きでさまざまな国を訪れていたのですが、その時に「写真を撮影している人の写真」を撮りためていて。2009年度の朝日広告賞で、その写真を活用してキヤノンマーケティングジャパンの課題に応募し、グランプリを受賞しました。この作品は、私自身が感じた「人が何かに夢中になっている様ってチャーミングでかわいいな」という感覚を、そのまま広告にしたような内容です。この「自分の感覚」を評価してもらえた経験はとても大きかったですね。サン・アドに入社後は、2015年にデビューした青森県のブランド米「青天の霹靂」やサントリーの「ザ・プレミアム・モルツ」などを担当しています。
青天の霹靂の仕事の方針は、「普通のことはしない」ということ。ブランド米としては後発な中で認知を拡大するため、あえてお米のCMにはあまりないようなコミュニケーションを実施し続けています。たとえば味の訴求ひとつとっても、日本のお米のおいしさの基準となっている「もちもちして甘い」という味わいとは異なり、「さっぱりしたお米」というポジションを確立するため"さっぱり"を軸とした訴求を徹底しました。そして2021年、青森出身のシソンヌ・じろうさんを起用したことが、今回受賞したWebムービーの企画に繋がっていきます。
このムービーでのクライアントの要望は、「若年層の認知度を上げたい」というものでした。そこで「お米を買う」という生活感あふれる行動を、もっと格好いいものにできないかと考えました。若い消費者の声を聞くと、お米もパッケージで選ぶ「ジャケ買い」のような購買行動をしていることもわかりました。そこに、じろうさんの被写体としての魅力をかけ合わせ、「米袋をファッションアイテムとして見せよう」という発想に至ったんです。青天の霹靂の米袋のデザインは評判が良く、それなら成立すると思いました。イメージしたのは雑誌『POPEYE』の特集のような世界観。フランス人がバゲットを買って、そのまま持って帰るような感覚です。そこで生まれたのが、今回の「お米を買って帰ろう。あ、袋はいいです。そのままで」というコピーでした。
自分の中にある「面白いかも」という思い込みのような感覚を頼りにストーリーを一から描いたので、当初は面白くなるか、伝わるかが不安でした。ですがユーザーの反応を見ると、思いのほかしっかりと広告として伝わっているようでした。「今度『袋はいいです。そのままで』って言います」と言っていただけたり、「フランス人がバゲットを買って帰るみたい」と、私のイメージをそのまま言葉にしてくれたりする人も。人によっては聖地巡礼のようにロケ現場を訪れて、じろうさん演じるキャラの真似をするなど、いろいろな楽しみ方をしてくれているのも嬉しかったです。最終的には「POPEYEWeb」とのコラボ記事が実現して、当初のイメージが本当に形になりました。
振り返ってみると、朝日広告賞も今回の賞も、自分の中の「かわいい」「面白い」といった感覚を大事にしながら生み出したもの。今後もそういう自分が持つ世界観とブランドの課題を結び付けながら、新たな表現を見つけていきたいですね。

波間知良子(なみま・ちよこ)
サン・アド/コピーライター
埼玉県出身。大学卒業後、日本デザインセンター原デザイン研究所で無印良品などのコピーを担当。朝日広告賞グランプリを受賞して賞金をもらい、世界一周旅行へ。1年10カ月ほど海外を旅して帰国後、サン・アド入社。
新人賞 受賞作品発表
最高新人賞
波間知良子(サン・アド)
青森県/青天の霹靂/WebMovie他
お米を買って帰ろう。あ、袋はいいです。そのままで



「インタビュー~猪俣ヒロシの場合~」篇
インタビュアー:こんにちは~
猪俣:…
インタビュアー:ちょっといいですか?
猪俣:あっ大丈夫です
インタビュアー:いまおしゃれな人にインタビューしてて。
猪俣:…おしゃれな人?
ょっともういっかい最初から、いいですか。
S:SEITEN NO HEKIREKI
Okome Wo Katte Kaerou.
~猪俣ヒロシの場合~
インタビュアー:すみません~!とってもおしゃれですね。
猪俣:ああ、そうですか。
あーでもオシャレしてるっていうつもりは全然なくて。
ほんとそのへんにあるものを適当に着て。
結果でもそれでオシャレだって言われることが
多いんで、おしゃれなんでしょうね。はい。
インタビュアー:いまなにしてるんですか?
猪俣:いま公務員してます。
インタビュアー:あ、いや、そうじゃなくて。
今日なにしてるのかなって。
猪俣:あ、そっちのほうですか、すみません。
散歩してます。
はい、朝8時から散歩して今帰りです。
インタビュアー:8時から?いま12時ですよ。
猪俣:そうですね、はい。
インタビュアー:ところで、それは…
猪俣:ああ、これですか。これ米袋ですね。
青天の霹靂っていう。青森のお米で。
あの、今日のコーディネートが
上も茶色、下も茶色、犬も茶色、ということで。
全部茶色なんですけど。
いい感じできまったなーと思ったんですけど。
あのーさっきお米屋さんの
ショーウインドウみたら、あれなんかちょっと違うなーと思って、
なんか足りないなーと思って。
で、ちょうどそこに青天の霹靂が売ってて、
で、それ持ってショーウインドウみたら、あ、これだーって。ピーンときまして。
まあ差し色ってゆうか。差し米っていうか。
あのレジで、「袋はどうしますか」って
言われたんですけど、
「あの、袋はいいです。そのままで!」ってはい。
言いました。
「袋はいいです。そのままで!」って。はい。
な、言ったよな。
インタビュアー:たしかに、米袋の青が効いてて、
めっちゃおしゃれですね。
猪俣:ありがとうございます。
インタビュアー:ちなみにいつ買ったんですか?
猪俣:えー9時頃ですかね。
インタビュアー:3時間前?
めちゃくちゃ重くないですか?
猪俣:おも、重くないです。
えっあなたの気持ちがってことですか?
いや、重いとは思ってないです。
もう好きっていうことですか?
インタビュアー:いや…
猪俣:あ、いや、あの、今、彼女はいないです。
インタビュアー:あ、本当ですか。…おしゃれはガマンですね。
猪俣:おしゃれはガマン?
女子1:あの~イノマタさんですか?
女子2:配信みてます!
猪俣:ああーありがとう。あ、ちょっと今でも、あ、
女子1:あのー一緒に写真撮ってもらっていいですか?
いきます、はいチーズ!
女子1+2:ありがとうございますー頑張ってください!
猪俣:あ、ありがとう。お米食べてよ。お米食べてる?
インタビュアー:これからどうするんですか?
猪俣:あ、公務員のほうちょっとやめようと思ってて。
インタビュアー:いや、今日の予定を…
猪俣:あ~そっち!そっちですかすみません。
とんちのほうだ。
えー帰ってあのお米炊いて食べようかなと思ってて。
はい、青天の霹靂。
インタビュアー:青天の霹靂?
猪俣:食べたことありますか?
インタビュアー:あ、ないです。
猪俣:ないですか!
あ、じゃあ食べてくださいよかったら。
みなさんもないですか?
あ、じゃあよかったら食べてくださいみなさんで。
インタビュアー:いいんですか?
猪俣:はい!これはきっと何かの縁だと思うんです。
婚約お米。…これちょ、すいません
ちょっと重いですよねこういうの。
こういうこと言うからよくないんですね。
よかったら受け取ってください。
インタビュアー:いいんですか?ありがとうございます。
猪俣:もういっこ買って帰るんで。はい、何個でも。
何個でも。何度でも、みたいな。はい。
青天の霹靂!!
NA(猪俣)+S:お米を買って帰ろう。
青森お米 青天の霹靂
あ、袋はいいです。そのままで
- 企画制作/サン・アド
- ECD/安藤隆
- CD/大友美有紀
- C+企画/波間知良子
- AD/白井陽平
- EPr/土井真人
- Pr/福島匠、丸山博之、竹馬渚、布施剛(映像)
- PM/岡美穂子
- 演出/奥野俊作
- 撮影/三部正博
- 照明/大井秀明
- 音楽/伴瀬朝彦
- 音声/清水天務仁
- ST/林道雄
- 出演/じろう(シソンヌ)
新人賞
丹羽貴紫(UUUM)
眞露/チャミスル/WebMovie
でこ先で送る君へのメッセージ
おでこアンニョン


「恋するチャミスル シーズン2」篇
S:韓ドラあるある2
presentedbyチャミスル
同僚男:ねぇ(ヤ)聞いた?
きょう新しい常務来るらしいよ
社長の息子だって
めっちゃ厳しいらしいよ
ユイ:本当に?(チンチャ)
同僚女:あ、来た!
同僚女:ヤバっ(テバ)
S:今回はこういう感じです
御曹司さま、降臨
S:YutaKoseki
YuiSakuma
恋するチャミスル
사랑하는참이슬
ユウタ:このレベルで仕事と呼ばれても困る
ユイ:申し訳ございません(ゼソンハンニダ)
S:鐘か
おでこブレイカー
ユイ:あぁ本当にムカつく!
(ワンジョンチャズンナ)
御曹司だからって
ほんと(チンチャ)何なの!
あ、あ、あー!
S:ガチ恋フラグが立った
うっかりシンデレラ
S:名前入りアイテムは超重要
伏線ハンカチーフ
フィアンセ:ユウタ(オッパ)
ユウタ:いつ帰ってきたの?
フィアンセ:きのうサプライズだよ
S:一日巻いて帰ってくる
サプライズ・フィアンセ
フィアンセ:オッパ私お腹空いた(ナベゴパ)
ユウタ:なんか食べに行こうか
ユイ:もう!(アイシ)
S:鍋からいただく
ダイレクト・ラーメン
ユイのオンマ:もしもし(ヨボセヨ)
ユイ:もしもし(ヨボセヨ)
母さん何してるの?(オンマモへ)
ユイのオンマ:母さん今(オンマチグン)
仕事中だからまた後で電話するね
いらっしゃい(オソオセヨ)
ユイ:んー!んんんんー!
あり得ないあり得ない
(ミチョソミチョソ)
あー、美味し
S:まてまてまてまて
焦らしの急接近
S:タイムリーな呼び出し
そうはさせないテレフォン
ユウタ:はい父さん(ネアボジ)
今からですか?
アボジ:お前も(ノド)
そろそろ結婚しなきゃな
キム社長(サジャン)の娘はどうだ
S:私に従いなさい
アボジ・ザ・ストロング
ユウタ:そういう話なら
先に帰らせていただきます
アボジ:待ちなさい
ユイ:もしもし(ヨボセヨ)
はい?(モラゴヨ)
常務が?常務がですか⁉
ユイ:常務!
ユウタのオモニ:あんた…(ノ)
ここがどこか分かってるの⁉
(ヨギガオディラゴ)
ユイ:常務!
ユウタ:だれ…(ヌグ)
S:お約束の急展開
10話付近の記憶喪失
ユイ:常務全部忘れちゃったんですか
ユウタのオモニ:出ていって!(ナガラゴ)
S:帰りなさい!
オモニ・ブロック(物理)
ユイ:常務!
ユウタのオモニ:あぁ頭が…(アイゴモリヤ)
S:キャパオーバー
くずれオモニ
S:ごちそうさまです。
半裸の水分補給
S:触れてよみがえる
記憶フェニックス
S:制作陣の気合いと魔法
シャイニング・レイン
S:おまたせ
ライジング・ハンサム
S:華麗なるジャケットさばき
上着シールド
S:抑えきれないから
不意打ちバックハグ
ユウタ:ごめん(ミアン)
心配させてごめん(ミヤネ)
ユイ:常務…
思い出したんですか?
S:ななめ後ろのサランヘヨ
ささやきの45度
ユウタ:僕は(ネガ)君を
とても愛している
(マニサランハナバ)
S:でこ先で送る君へのメッセージ
おでこアンニョン
ユウタ:何飲もうか?
ユイ:何がいいですか?
ユイ+ユウタ:チャミスル!
ユイ:すみません(ヨギヨ)
チャミスルください(ジュセヨ)
ユイ+ユウタ:チャン!
S:ふたりはやっぱり
恋するチャミスル
ユイ:開け方があって…
ユウタ:知ってるよ!
ユイ:おーすごい!
S:ドラマチックな大定番
チャミスル
- 企画制作/ジェイアール東日本企画+AOI Pro.+FIELD MANAGEMENT EXPAND
- CD+C+企画/丹羽貴紫
- 企画/石野智也、クリスティ・チャン、高市知美
- AD/角大志
- Pr/神﨑智弘、高橋浩規
- PM/杉本春佳
- 演出/ジョンウンヒ
- 撮影/佐藤匡
- 照明/小林洸星
- 美術/井上健吾
- 編集/明石風太、西田明徳
- サウンドデザイン+MIX/奥村宏貴
- 作詞/Pony Bae
- 作曲/notyourkind
- 作曲+歌/clovd
- 歌/パク・ビョンギュ
- ST/三田真一、吉本知嗣
- HM/秋鹿裕子、古久保英人
- CAS/ハカックエリナズ、中野辰哉
- NA/鈴木美華
- 出演/佐久間由衣、小関裕太、横山美智代、川村早織梨、井上肇、伊吹捺未
新人賞
森井聖浩(東急エージェンシー)
ACジャパン/全国キャンペーン(不寛容な時代~現代社会の公共マナーとは)/TVCM
たたくより、たたえ合おう。

「寛容ラップ」篇
年配客:ろっぴゃくと…?
店員:639円です
年配客:さんじゅう…ごえん…
ごめんなさいね、遅くてね…
5円がちょっと…あれ…
ごめんなさい…
♪(男性客):Yo!もしかして焦ってんのか おばーさん
誰も怒ってなんかない
アンタのペースでいいんだ 何も気にすんな
自分らしく 堂々と生きるんだ
年配客:…
♪(年配客):迷惑かけてしまってるなって
焦ったらまさかの優しい発言
アタシも反省 見た目で判断
もういらないわ 色眼鏡なんか
♪(男性客):みんな違うの 当たり前
♪(年配客):アタシはアタシで アナタはアナタ
♪(男性客):誰もが出来る...