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ロングセラーブランドのコミュニケーション戦略

発売50周年の甘味なる飲料「ネクター」のブランド戦略

不二家「ネクター」

2014年で発売50周年となる不二家の果汁飲料「ネクター」。同社の飲料事業の基幹ブランドとして高い知名度を誇り、近年は他社との提携やコラボで新たな価値創出を進めている。

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発売当初のパッケージ。(左)、現在もロゴは変わっていない。(右)

果実の濃厚なうまさを凝縮

1964年に発売され、今年50周年を迎える不二家「ネクターピーチ」は、白桃の濃厚な果実感をたっぷり味わえるまろやかな舌ざわりの飲料だ。開発期間は約1年、果実の鮮度を保つイタリアのベルツーチ製法を採用し、当時の最新機械「高圧ホモゲナイザー(均質機)」を導入するなどしてネクターは完成した。ネクターという名前は、ギリシャ語で「神々の飲み物」を意味する「ネクタル」が語源となっている。

その製法は、白桃を丸ごと粉砕して加熱した後、3度も裏ごしするというもの。丁寧に手間をかけてできるのが、白桃のうま味や繊維質が丸ごと入った濃厚なモモのピューレであり、ネクターの原料となる。あのまったりとしたネクターのとろみは、果実由来のとろみなのだ。

発売した当初、市場では低果汁や無果汁の飲料が多数発売されており、ネクターの40%という果汁率は飛び抜けて高かった(現在は30%)。製造できる機械が限られていることもあり、ネクターの味は不二家が守り続けてきた独自の味となっている。ちなみに発売当時はまだプルタブ缶がない時代で、付属の小さな缶切りで飲み口と空気穴をあけて飲むというスタイルだった。

洋菓子店からメーカーへ拡張

不二家のルーツは、1910年に横浜・元町に開店した洋菓子店にある。1923年の銀座店オープンを機に東京へ進出し、ショートケーキやシュークリームを販売する洋菓子店として人気となる。

「現在のようにメーカーとしての機能を持つようになったのは終戦後、初代社長の藤井林右衛門が練乳と水あめを組み合わせた『ミルキー』を開発し、全国の小売店に卸して販売するようになってから。以後、1954年に飲料事業に参入し、ネクターもその中から生まれました」と解説するのは、食品事業部でネクターの商品企画を担当する野村崇仁氏だ。

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