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EDITOR'S CHECK

クラムボン『モメント e.p.』、サンシャイン60「SKY CIRCUS」ロゴのデザインほか

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井上荒野『ママがやった』

(文藝春秋)

○AD/関口聖司
○I/福田利之

「官能性と棘、質の異なる柔らかさと硬質さというコンセプトでビジュアルをつくってほしい」。井上荒野さんの新作の装丁にあたり、デザイナー関口聖司さんは担当編集者からこんなリクエストを受けた。それに応えるべく、関口さんは国内外のアート作品を数点選んで、ダミーを制作。さまざまなモチーフを使った作品の中から、最終的に選ばれたのは、クールで不思議な質感を持つ福田さんの作品だ。ラフの段階で、イラストの雰囲気と文字の響き合いのバランスがこの小説にぴったり合った。

題字やコピーの大きさはあえて抑え、不穏な言葉がじんわりと見えてくるイメージを狙った。「原画の紫系の美しいトーンが素直に伝わるように意識しました。原画のマチエールが本全体に派生しながら、本そのものに物体としての引っ掛かりがでるようにしたいと思い、少し漆喰のようなエンボスのある用紙を用紙を選んでいます」。カバーのイラストに北欧ヴィンテージ陶器のような、食卓や暮らしを連想させる要素が入ったことで、本全体のイメージが深くなったと、著者と編集者も仕上がりに満足している。



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クラムボン『モメント e.p.』

(トロピカル)

○AD+ドローイング/原田郁子
○AD+D/増渕みづ紀、北川夏希(篠原紙工)

クラムボンの『モメント e.p.』は、昨年メジャーレーベルから離れて、自身のレーベルで活動していく第一歩となるアルバム。流通を通さず、2月から始まった全国ツアーの会場のみで販売している。「ライブの後、できるだけサイン会をやって、一人ひとりに直接手渡していくという新しい試み。手渡しできる機会があるのだから、買ってくれた方が手にした瞬間、喜んでもらえるような形にしたい」と、原田郁子さん自身がクラムボンらしい質感や遊びを考えながらデザインしたものだ。

今回は、盤を入れるトレイの部分まで、すべて紙で制作。原田さんと共に制作したのは、篠原紙工だ。デザイナーを立てずに一から設計し、同社スタッフと直接細かいやりとりを繰り返しながらつくっていった。「バンド名をタグに入れてミシンで縫い込む、タイトル文字を型抜きする、私の描いたスケッチの線が続いていくなど…

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