小霜和也さんの著書『ここらで広告コピーの本当の話をします。』は、広告コピーの本当の価値を、当のコピーライターたちに向けて問い直す本だ。その中では、コピーとは何か、コピーライターの価値とは何かがわかりやすく説明されている。では、「コピー」を「クリエイティブディレクション」に置き換えてみると――?小霜さんに話を聞きにいった。
小霜和也(こしも・かずや)
クリエイティブコンサルタント/クリエイティブディレクター/コピーライター。1962年兵庫県西宮市生まれ。86年東京大学法学部卒業。同年博報堂入社、コピーライター配属。98年退社。現在、小霜オフィス/no problem LLC.代表。著書に『欲しい ほしい ホシイ── ヒトの本能から広告を読み解くと』(2010年、インプレス)、『ここらで広告コピーの本当の話をします。』(2014年、宣伝会議)がある。
クライアントの「心」を
「技」で最大化する
――著書が反響を呼んでいます。
若手コピーライター向けに書いたのですが、実際にはクライアントや広告会社の営業、PR会社などからの反応が多くて驚きました。「初めてコピーの本で役に立った」とも言われます。「コピーとはなんぞや?」ということをつかみたい人がコピーライター以外にも実は多かったのだと思います。僕は元々クリエイティブ志望ではなかったんです。だからコピーというものに幻想を持っていない。その分、客観的に捉えられているのかも。
――では、「クリエイティブディレクションとはなんぞや?」という問いにはどう答えますか。
狭い意味と広い意味のクリエイティブがあると思うんです。狭い方は、いわゆるキャッチのこと。キャッチフレーズ、キャッチビジュアル、CMのキャッチストーリー。多くの人が「クリエイティブ=キャッチ」だと思っています。どうやって人の興味を引くかがクリエイティブだと。
しかし、大事なのはそこから商品にどう落とし込むかです。そこがないと …