2023年、日用品の値上げが相次ぎ、消費者の節約意識がさらに高まったと言われている。これまで、安さを維持することが正義のような捉えられ方もあったが、値上げが続くなか、消費者はどのようなことを考え、何に支払い意思を示しているのだろうか。消費者の「ROI」意識について、野村総合研究所の髙橋弓子氏が解説する。
85%が「負担を感じている」値上げに伴い消費者行動が変化
2023年12月の毎月勤労統計調査(速報:24年2月6日に厚生労働省が発表)では、物価を考慮した、働き手ひとりあたりの実質賃金は前年同月より1.9%減少した。減少は21カ月連続で、名目賃金は増えても物価の上昇には追いつかず、賃金が目減りする状態が間もなく2年を迎えようとしている。生活者の暮らし向きのゆとり(日本銀行「生活意識に関するアンケート調査」、前年対比)も、2021年後半以降の下降傾向から回復していない。
最近の食料品や日用品の値上げに対し、負担を感じている(「負担が大きい」または「負担がやや大きい」と回答した)消費者は、2024年2月3日時点で85%みられる...
あと80%