原材料価格の高騰などにより、商品やサービスのプライシング戦略に頭を悩ませる企業も多い。現在、企業やブランドのプライシング戦略において、重要なポイントは何なのだろうか。福岡大学 商学部教授の太宰潮氏が解説する。
今に始まったことではない「値上げ」価格改定に躊躇しないためには?
2023年より、商品やサービスの値上げが行われるケースが非常に多くなっている。いかに値上げが多くなっているかは、高橋嘉尋氏の『値決めの教科書』(2023年)をはじめとした文献や記事にも紹介されているため、本記事では割愛をするが、何も値上げや価格改定は当然、いまに始まったことではない。現在、値上げに悩む企業は多くあるが、理論や過去から学べることもまた少なくない。
価格を考える軸には、①コスト、②需要(価値や顧客反応を含む)、③競争の3つがあると言われている。そのうち、原材料高騰を含む①コスト増やそれに伴う利益状況改善が現在の値上げの大きな理由として指摘されることが多い。しかし、コストがかさみ、利益を改善するために値上げを行うべき...
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