
(左)1993(右)2023
1993年に販売を開始したアサヒ飲料の「十六茶」は今年で30周年を迎えた。ハトムギ、ハブ茶、柿の葉、ナツメなど16の素材をブレンドした「十六茶」は、東洋健康思想の「六臓六腑四味覚」の考えがもとになっている。もともとはシャンソン化粧品のブランドで、美容健康茶としてティーバッグ形状で発売されていたもの。この商品に着目したアサヒ飲料がシャンソン化粧品より原料の供給を受けて「アサヒお茶どうぞ 十六茶」を缶飲料として発売したのが始まりだ。「無糖茶のジャンルでは『むぎ太郎』という麦茶を販売していましたが、新たなジャンルの茶飲料で市場を開拓できないかと模索していました」と話すのはアサヒ飲料「十六茶」マーケティング本部マーケティング二部 無糖茶グループのプロデューサー内田勝大氏。
発売当初は一部のコンビニエンスストアでの展開にとどまっていたが、弁当や飲み物に合うスッキリとした味わいが評判となり売上が上向きに。食事に合う飲み物として打ち出した「WITH FOOD」というコンセプトが定着し、それに伴い流通網が拡大、同年末の販売量は277万函に達した。
「ブレンド茶のパイオニア」として同市場を牽引する十六茶の強みは「健康サポート」と「美味しさ」の2つが両立している点にある。
その強みに加えてさらに新たな健康茶の価値を提案すべく、2005年には中味をノンカフェインにリニューアル。一人暮らしを始めて家で飲むお茶を十六茶にする、出産を機に十六茶に変えたなど、健康に高い関心を寄せる層を中心に多くの反響を呼んだ。
カフェインゼロの特長を活かし、2019年には「アサヒ こども十六茶」という子ども向け商品を開発し、「家族思いの健康茶」として全世代に愛されるブランド価値を提供している。
視点01 商品・ラインアップ
継続的な中味の改良で全世代が安心して飲める健康茶へ

缶飲料として発売した「アサヒお茶どうぞ 十六茶」缶340g。PETボトルタイプは持ち歩きしやすい500ml。1.5Lや2Lサイズはお茶を淹れる手間も省けると、常備する家庭も増えた。
缶飲料として発売した「十六茶」は1994年から1.5LのPETボトルの販売を開始。1996年には携帯に便利な500ml、ファミリーユースタイプの2Lなど、多様なニーズに応えてラインアップを強化した。この頃から清涼飲料に対する健康志向や、ライフスタイルの変化による家庭でお茶を淹れる機会の減少などを背景に、お茶飲料市場は拡大傾向が顕著に。「十六茶」の販売数も右肩上がりで1998年には2380万函を記録した。
顧客から支持される理由のひとつである「健康志向」に対し...