デジタルの世界で知名度を確立させたブランドがさらなる顧客との接点拡大を目指したり、従来は人的営業中心だった企業が、テレビCMの活用に踏み切る機会があります。なぜテレビCMを選んだのか。初めて出稿する際に、どのような戦略を持って臨んだのか。担当者に話を聞きます。
4年越しに実現したグループ初のテレビCMへの挑戦
人材サービスを主力とし、国内外で事業展開するウィルグループの中で国内事業の核を担うのが、人材サービスブランド「WILLOF(ウィルオブ)」だ。人材派遣をメインに、人材紹介や業務請負、紹介予定派遣と総合的に顧客の人材課題を解決している。同サービスの強みは、販売、コールセンター、介護、建設業、軽作業など特定のカテゴリーに特化していることだ。
「ウィルオブ」ブランドが誕生したのは2019年10月。現在も「ウィルオブ」ブランドの中心的存在である「ウィルオブ・ワーク」となったセントメディア社とグループ企業が、サービスブランドを統合し、商号も変更した。ユーザーが抱くブランドイメージの統一と、利用者の拡大を目指してのリブランディングだった。
「ウィルオブ」の主な応募獲得経路は、外部の求人サイトに求人広告を掲載することだという。今回のテレビCM放映には、外部の求人サイトへの依存を脱却し、ターゲットの想起集合に入ることで、選ばれる人材サービスになりたいという思惑がある。また、自社サイトのSEO対策や運用型Web広告でのプロモーションなど、デジタル施策については、一定の成果や効果検証もできており、コロナ禍の影響で見送っていたテレビCMに挑戦することを決めた。
「時期・事業、マーケティング施策の拡充といった様々な要素が絡み合い、当社グループ初となるテレビCMの放映に踏み切ることになりました」(ウィルオブ・ワーク マーケティング本部仁科圭太郎氏)。
ターゲットのインサイトに合わせた多様なクリエイティブを制作
今回のCMでターゲットとなるのは、「ウィルオブ」がカバーする職種・業種で働く人々だ。具体的には、販売員、コールセンターの担当者、エンジニア、介護職員、軽作業員、建設業に従事する人々と多岐にわたる。
この想定ターゲットの多様さは、クリエイティブを決定する上でも大きなポイントとなった。もちろん、職種が違えばユーザーが持つインサイトも変わってくる。
「テレビCMの制作を担当した広告会社からは、クリエイティブの抽象度を高くし、バラバラなインサイトを包含する...