4月25日、アメリカ・ニューヨークでCLIO AWARDSの授賞式が開催された。同アワードは1959年に創設されたクリエイティブビジネスを対象とした国際コンペティションで、「世界三大広告賞」のひとつでもある。本記事では、14部門で13の企業・団体の取り組みが受賞した最高賞のGRANDから5作品を紹介する。

01 Direct 他:We Believers
海洋ゴミの削減と漁師の収入確保を同時に実現
AB INBEV「Corona Plastic Fishing Tournament」




2016年にスイス・ダボスで開催された世界経済フォーラムにおいて、世界の海に漂うプラスチックごみの量は今後増え続け、2050年までに重量換算で魚の量を超えるという予測と懸念が発表された。
そこでグローバルビールブランドのコロナが行った海洋環境保護のためのキャンペーンが「Corona Plastic Fishing Tournament」だ。本アワードではDirect、Experience/Activation、Public Relationsの3つの部門で最高賞のGRANDを獲得した。
長年「ビーチの代名詞」として、ビーチクリーン活動や素材の見直しなど、世界中で海洋環境保護活動に取り組んできたコロナブランド。この「プラスチック釣り大会」は、2021年にメキシコで初めて開催された。
場所は太平洋沿岸に位置し、伝統的な漁村を抱えるメキシコのシナロア州。この日100名近い漁師たちがチームを組んで参加し、わずか6時間で3トンの海洋プラスチックごみが釣り上げられたという。上位3チームには賞金が与えられたほか、参加者全員に光熱費の引換券や、リサイクル材でつくられた船の清掃用具などが贈られた。
この取り組みは、決して大会の1回きりでは終わらない。“釣り上げた”プラスチックをリサイクル業者に売却することで、漁師にとって第2の収入源となる仕組みが新たにつくられたことも、高く評価された。この時に参画した地元のリサイクル業者México Reciclaは従業員の約6割が女性で、経済的自立を通じた従業員のエンパワーメントを目指す企業。地域の経済活性化にもつながる取り組みとなった。