1998年に創設されたアジアパシフィック最大の広告祭「ADFEST(アジア太平洋広告祭)」。過去3年はコロナ禍でオンライン審査のみだったが、2023年3月23日~25日、4年ぶりにタイ・パタヤでリアルイベントが開催された。本記事では、各カテゴリの上位受賞作品を紹介する。

01 USE OF DIGITAL&SOCIAL PLATFORMS:BBDO BANGKOK
全世代が好きな広告をつくる
FIVE STAR「THE MOVIES THAT MADE(FROM)US」





タイの人気チェーン店「Five Star Chicken」は、BBDOバンコクと共に「The Movies That Made(From)Us」と題したショートフィルムを制作した。
多くのロングセラーブランドは、若年層へのアプローチに頭を悩ませている。
1985年の設立以来、タイ国内に6000以上、海外にも1600以上の店舗を持つトップブランドであり続けてきたFive Star Chickenも同様だ。団塊の世代やX世代での人気は高いが、ミレニアル世代、Z世代など、若年層とのつながりには苦労していた。
BBDOバンコクが打ち出したのは「世代をつなぐチキン(Chicken that connects generations together)」というコンセプト。政治や音楽、ファッション、価値観など様々な対立があっても、どんな世代もチキンが好き、というアプローチだ。
では、すべての世代にとって完璧な広告とはどのようなものだろうか。そこで同社は、SNSや街の人々から意見を募ることにした。初めの質問は、タイの人気俳優WeirのSNSフォロワーに向けた「Weirはどこかに座っているけど、次は何をする?」。この質問には6000コメントが集まった。
こうしてあらゆる世代から集まった、“見たい広告”への意見。「ハリーポッターが好き!」「エルサは?」「手品師がトランプのマジックを披露したらいいと思う」「ゾンビ襲来」「チキンに火が付く」⋯テーブルに座るWierの周りに、そのすべてが同時に描かれた。
動画は公式YouTubeチャンネルでの公開からわずか1日で、60万回以上の再生回数を記録。3日間で730万ビュー、940万インプレッション、11.3万エンゲージメントを...