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脳科学の視点

侵襲型脳デバイスから覗く、心の中身

山根宏彰氏(富士通)

脳と外部デバイスを直結 簡単なゲームや会話は可能

前回(月刊『宣伝会議』12月号掲載)、購買行動、禁煙へのコミットメントを予測するためのfMRI技術について紹介した。fMRIを用いると脳全体の領域の脳活動がとれる一方で、「脳細胞そのものというよりは、脳活動に起因する血流の変化を計測しているため、脳内神経細胞の活動に対して4~5秒遅れてしまう」「横たわった状態かつ動いてはいけない」など、欠点もある。制約されない状況で心の状態を知る技術はあるのか。

よく知られた有力候補のひとつにElectroencephalogram(EEG)がある。頭皮に通電性の高いジェルを塗り、頭部にたくさんの電極をつなぐことで、頭皮から出てくる脳活動に起因する微小電流を計測する。しかしながら、筋肉を動かすときに生じる電力に影響されるなど、ノイズに弱くなってしまうことが多く、どうにも再現性に乏しいことが多い。

ここでにわかに話題になっているのが、Twitter買収劇で世間を賑わせているイーロン・マスク氏が設立したニューロテクノロジー企業、Neuralinkが開発するデバイスだ。この「N1」は脳の頭蓋骨を開けて、脳の表面に直接剣山のようなものを埋め込むことで、直接脳活動(=皮質脳波:ECoG)を取得することを可能としている。すでに...

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