AIがつくる言葉と人間がつくる言葉の違いとは
「機械になんかキャッチコピーはつくれるわけねえよ!!」
10年ほど前、キャッチコピー生成AIの研究をしていた筆者は、広告業界に就職した大学時代の同期からそう言われた。キャッチコピーは、受け手の注意を引き、関心と興味をかき立て、送り手の期待する欲望を起こさせ、行動させる。「人間の感性がわからないAI」にそんなことできない、と思ったのだろう。
キャッチコピー。例えば助詞の違いで、印象や意味は大きく変わる。
AIの中でも言語を扱う自然言語処理(NLP)という分野がある。このNLPツールである「形態素解析器MeCab」(工藤EMNLP 2004)は、文章を単語に区切り、品詞を得ることができる。意図なく単に助詞を入れ替える「だけ」なら、一秒もかからず全組み合わせが得られてしまう。
筆者は、大学院時代に、助詞以外の品詞の入れ替えを考慮する、3つのキャッチコピー生成AIの考案と開発を行った。ひとつ目は、手本を真似するAI(山根・萩原:AI & Society 2015)だ。これは統計的にキャッチコピーらしいものを教え、それをAIに模倣させるものである。例えば、キーワードに「温泉、リラックス」を入力すると「温泉で心安らぐ森の休日」が、「映画、感動」では「涙と笑いの青春映画」が出力される。
2つ目は、玉石混交を是とし...
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