「ソロ社会」における寄り添わない、ネコの勝ち戦略
かつて、ペットといえばイヌだった。『フランダースの犬』といい、『南極物語』といい、忠犬ハチ公といい、強くたくましく、献身的なイヌたちこそが、人間の相棒としてふさわしいと思われていた(気がする)。ネコ好きが少なかったわけではないけれど、ネコを飼うのはちょっとお洒落な趣味みたいな感じがした。
ところが最近は、空前のネコブームである。誰も彼もがネコを見るとふにゃふにゃ笑いになる。グッズ、写真集、本。ネコ関連の展覧会も、この夏だけでも「もしも猫展」(名古屋市博物館)、「東京の猫たち」(目黒区美術館)、「“Life with ネコ”展」(港区立郷土歴史館)、「みんな大好き!福島ねこづくし展」(福島県立美術館)などが全国で開催されている。なぜいま、ヒトはそんなにネコにめろめろなのか。
イヌとネコの逆転は20世紀から21世紀に変わる頃から始まり、2010年代初頭には日本国内のネコの飼育頭数がイヌのそれを上回ったと報じられている。では、この頃の社会で何が起きたのか。大きな変化といえば、少子高齢化と人口縮小社会への転換である。15~64歳人口(生産年齢人口)は1995年をピークに減少を始め、2020年時点で13.9%減少した。総人口も2008年をピークに下り坂に入った。一方...
あと60%