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社会学の視点

北斎はくりかえし甦る

遠藤 薫氏(学習院大学)

19世紀日本でみられた世界の文化共創

Twitterで、「クジラの瞳」を映した動画を見た。揺れる波間から悠久の彼方を見据えるような威厳に満ちたその瞳には、この動画の投稿者も言っているように、自分の存在が取るに足らぬものだと思い知らされる。と同時に、この瞳は以前にも見たことがあるという思いがよぎった。

記憶を探って思い当たったのが、浮世絵師・葛飾北斎(1760-1849)が「千絵の海 五島鯨突」に描いた鯨の瞳だ。無数の小舟が鯨を浅瀬に追い込み、銛で弱らせて仕留める。巨大な鯨は周囲を取り囲まれ、水しぶきを上げる。大きく開かれた瞳は不思議に静かで、瞑想しているようだ。それは画家の幻視だと思っていたが、むしろリアルそのものなのだった。

4月から6月にかけては「北斎展」が目白押しだった。『大英博物館 北斎―国内の肉筆画の名品とともに―』(サントリー美術館)、『特別展「北斎」』(九州国立博物館)、『北斎とライバルたち』(太田記念美術館)、『北斎 百鬼見参』(すみだ北斎美術館)等々。

どの「北斎展」も盛況で、作品群のインパクトと人気の高さを改めて思い知る。北斎マニアの私としても、片端から足を運ばざるを得ない。中でも大英博物館からの里帰り展は質量ともに圧巻だった。よくこれだけ収集・保存していてくれたという感謝と、なぜこれらが...

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