異界に続く大ヒット児童書たち 人を惹きつける理由は?
コロナで孫たちにもなかなか会えなかった。久しぶりに会うと、すっかり大きくなっていてびっくりである。本が好きというので書店に行った。広いフロアをぱたぱた走り回って、早速お気に入りを見つけたようだ。でもそれは、私が何となく予想していた本とは違っていた。
5歳の女の子が抱えてきたのは、ヨシタケシンスケさんの作品で一見、可愛い絵本に見えるが、ちょっと違う。『りんごかもしれない』は、テーブルに置かれたりんごを見て、「もしかしたらりんごじゃないかもしれない」と疑いはじめ、次々と奇想天外な「りんごに見えるけれどりんごじゃない可能性」を妄想していく。思わず笑ってしまうと同時に、少し世界が違って見えてくる。
10歳の男の子が差し出したのは、『5分後に意外な結末』シリーズだった。学校で読書委員をやっていて、朝のホームルームで面白い話を紹介する担当なんだそう。内容を見ると、ジェイコブズの「猿の手」など、奇妙なコワ味のある短編アンソロジーである。「怖くない?」と聞くと、「すごく受けるよ」という。ふうん。うちの孫たちは変わっているのかな。
ところがどっこい。この2冊、とんでもないベストセラーらしい。ヨシタケさんの本は何度もMOE絵本大賞で選ばれている。「5分後」シリーズは累計...
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