Fintech協会の会長が設立 ファンマーケと連動する金融体験
2021年9月、ナッジはファンマーケティングと連動した新たな金融体験を、利用者・提携先(スポーツチーム・アーティストなど)の双方に提供する次世代型クレジットカード「Nudge」の発行の開始を発表した。ナッジは日本におけるチャレンジャーバンクを目指すベンチャーで、代表取締役社長の沖田貴史氏は一般社団法人Fintech協会の会長も務める。沖田氏は「『Nudge』はスマホ連動で利用できる、安心・安全を重視したクレジットカード。まだキャッシュレスに抵抗感を持っている人にも使いやすいサービスを目指した」と話す。
さらに「Nudge」が特長的なのが、提携する企業や団体が開設する「クラブ」を選択すると、好きなスポーツチームやアーティスト、クリエイターへの応援が可能になる点。
沖田氏は「クレジットカードの使いやすさを進化させるとともに、日本におけるフィナンシャルインクルージョン(金融包摂)の課題を解決し、Embedded Finance(組み込み金融)を推し進めることで、さらなるキャッシュレス化に貢献したい」と話す。
ナッジの創業は2020年2月。それ以前から、沖田氏は長年にわたりFinTech業界で活躍してきた。沖田氏にとってナッジは4社目の起業となる。
「長年、FinTechのビジネスに関わってきたが、キャッシュレスは便利だしポイントが貯まるなどの特典もあるのに、現金で支払う人たちが多くいる理由が理解できなかった。しかし、これまでのFinTech系サービスは、アーリーアダプター層が利用の中心だったのだと気づいた。そこで現在、キャッシュレスサービスを使っていない層に寄り添うサービスに可能性を感じた」とナッジ設立の理由を語る。
日ごろの支払いを通じて ファンが“推し”を応援できるカード
「私は“FinTechオタク”を自称している」と話す、沖田氏はこの領域に精通している。だからこそ、これまでのサービスは技術先行で一部の先進的ユーザーにしか使われていなかったという気づきがあった。そこでナッジではターゲットを20〜30代の若年女性で、クレジットカードの利用に不安を覚える層と決めた。ただのお金のやり取りをする無機質なものではなく、カードを利用することにより、好きなアーティストを応援するという、「人の心」を利用目的に乗せる仕組みを組み込んだのも、こうしたターゲット設定があってのことだ。
前述のように「Nudge」はスマホ連動で利用者にとって安心・便利なクレジットカードであるという特長があるほか、ファンが推しを応援できるカードであることに独自性がある。安心・便利については...