「マーケターの集合知で日本に突き抜けた成長力を生み出す」ことを目的に、2014年に設立された「CMO X」。すでに参加マーケターも100名規模にまで成長している。定期的に開催している異業種のマーケターが集まる研究会の場で見えてきた、これからの日本のマーケティングが進むべき道とは?

写真左上から時計回りにアスクル 取締役 木村美代子氏、ロート製薬 マーケティング&コミュニケーション部部長 角田康之氏、亀田製菓 商品本部マーケティング戦略部長 佐野扶美枝氏、「CMO X」Founderの加藤希尊氏、PayPayマーケティング本部本部長 藤井博文氏、『宣伝会議』編集長 谷口優。
多彩なマーケターの集合知が新たなムーブメントを起こす
2021年6月「CMO X」となって2回目、通算で28回目の研究会がオンラインで開催に。今回はアスクル、亀田製菓、PayPay、ロート製薬の4社からマーケティング担当者が参加した。「CMO X」Founderの加藤希尊氏は、研究会の冒頭で「異なる業種に属していても、経営に関わるようなマーケティング課題には共通点が見えてくる。こうした共通課題のディスカッションを通じて、社会に影響を与えるような新しいムーブメントを起こしていきたい」と、研究会で生み出される“集合知”の可能性について言及した。
議論の先陣を切ったのはアスクルの木村美代子氏。文具を扱うプラスの新事業として1993年にスタートしたアスクルは、当初は法人向けサービスだったが、2009年からはBtoC事業を開始。アスクル立ち上げメンバーの一人でもある木村氏は、主にブランディングの観点からBtoC事業で指揮をふるってきた。本事業は現在「LOHACO」として広く消費者に愛されるブランドに成長している。
そんなLOHACOが抱える課題は、「生活用品ECサイト」は競合他社が多く差別化が難しいこと。価格競争に陥りやすく、単価の高くないアイテムが大半を占める中でどう採算をとれるかが課題となる。「LOHACO ECマーケティングラボでのメーカーとの共創や、飲料水や米、パンなどを扱うプライベートブランドに注力することで、他にない美味しさや機能性など独自価値ある商品をつくっている」と木村氏は語った。
4000万ユーザー達成のPayPay 課題は新規開拓と離脱防止
PayPayの藤井博文氏からは登録ユーザー数が4,000万人を突破するなど破竹の勢いで拡大しているQRコード決済「PayPay」について戦略が紹介された。PayPayは「名称認知」「内容認知」ともに高い数値を示していることもあり、カスタマージャーニーでは店頭やテレビCMでユーザーの興味を引いて「アプリのインストール」に...