「マーケターの集合知で日本に突き抜けた成長力を生み出す」ことを目的に、2014年に設立された「CMO X」。すでに参加マーケターも100名規模にまで成長している。定期的に開催している異業種のマーケターが集まる研究会の場で見えてきた、これからの日本のマーケティングが進むべき道とは?

(写真左から時計回りに)佐藤満氏、原田聖子氏、甲斐博一氏、谷口優(CMO X コンテンツディレクター)、加藤希尊氏(CMO X Founder)、渡邉英右氏。
100社を超えるマーケターが参加「CMO X」となって研究会が再開
「日本のマーケターの集合知」をつくることを目的に2014年11月に設立した「CMO CLUB」は2021年4月にマーケティングを取り巻く環境変化に対応すべく、「CMO X」へと名称を変更。2020年はコロナ禍を受け、新規メンバーが参加する研究会の実施は一時、中断したが、人との出会いが少なくなった今だからこそ、交流の場が必要との考えのもと、4月にオンラインでの研究会実施に踏み切った。
今回はストライプデパートメント、日本HP、マネーフォワード、Mizkan Holdingsから4名のマーケティングに携わるメンバーが参加。通算では27回目となる研究会だ。
トップバッターで課題を発表したのは、ストライプインターナショナルとソフトバンクのジョイントベンチャーである、ストライプデパートメントの佐藤満氏だ。百貨店で扱われるような高感度、高価格帯のアパレルなどを中心に揃える、“大人”向けECモールであるストライプデパートメントを提供する同社では、「大手ECモールのようなリスティング(検索)型ではなく『お客さまと商品・サービス』のマッチング型サービスを目指している」という。
また、全国の百貨店とも連携し、百貨店ごとのECサイトのような立ち位置でカスタマージャーニーを強化している、とも自社のビジネスモデルを解説する。
その中で課題となるのは、「ECの顧客体験がPCやスマートフォンといったデバイス上で完結してしまう点」であり、「EC上とリアルの実店舗の間でお客さまが分断されてしまうこと」だという。「お客さまからすれば、ECはどこで買っても大きな差はないという意識がある。ECであっても、その店舗ならではの体験をつくること」に苦心していると話した。
続いて発表したのはマネーフォワードで横断領域を担当し、2019年にグループジョインしたマーケティングが強みのスマートキャンプにも携わる原田聖子氏。BtoC事業だけでなく、BtoB、さらにSaaS型のプロダクトを提供販売する同社では、BtoB企業だからこその課題が見えてきた。
原田氏は大きくは「マーケティング手法が多様化」しているが「専門スキルを持った人材」も「BtoBマーケティングに特化したデジタルエージェンシー」も...