SNSの声は、本当に日本の縮図?ネット言論の代表性を問う
日本でも利用者が増すSNS。企業がマーケティングにSNSの声を活用したり、炎上に対応したりといったケースもよく見られているが、SNSで発信されている声を日本の世論の縮図ととらえることに問題はないのか。ネット炎上、コミュニティなどを専門分野とする評論家の真鍋厚氏が、現在の日本におけるSNSの声を説明する。
ネット世論と広告炎上
時代によって広告を取り巻く環境は変化し、それに伴い社会に受け入れられる広告表現も変わってくる。サントリーで20年以上、広告宣伝に携わり、今年4月にサン・アドの専務取締役に就任した三好健二氏は、この広告を取り巻く変化をどのように考えているのか。同氏の経験をもとに、刻々と変わる社会環境に宣伝部はどのように対応していけるのか、話を聞いた。
広告は時代を映す鏡。時代に応じて社会、人々に受け入れられるべく変化を遂げてきた。サントリーで20年以上、広告宣伝部門でキャリアを積んできた三好健二氏は、広告に影響を与える外部環境の変化には①自然環境の変化、②社会環境の変化、③生活環境(買い物環境)の変化、④メディア環境の変化という4つがあると話す。
「①自然環境の変化」とは自然災害や今回の新型コロナウイルスのようなパンデミックが挙げられる。
「このような変化が起きた際は、お客さまを元気づけることを意識した広告が制作されるケースが多いです。私が手掛けた事例では、東日本大震災から10年である今年の3月に実施した河北新報社×サントリー天然水『3.11あの日、助けてくれたものリスト』や、コロナ禍で放映したBOSSのテレビCM『宇宙人ジョーンズ・宇宙人からのアドバイス』篇などがあります」。
「②社会環境の変化」とは、景気変動、リーマンショック、政権交代、改元など。この場合も、社会の大きな動きにより揺れ動く人々の心を勇気づけるような広告がつくられるという。
「③生活環境の変化」は、インターネット、AI、IoTなどデジタルテクノロジーの進化によるもの。
「これは、買い物環境の変化とも言い換えられます。オンラインでの購買機会の増加により、商品やブランドを認知しないまま、衝動的に購入されるケースが増えました。そのため、衝動的な購買意欲を喚起する広告が重視され、例えば6秒以下の動画で訴求するバンパー広告や店頭での指向性スピーカーを活用した音声広告、自動販売機と連動するアプリなどによる宣伝が生まれました」と三好氏は振り返る。
最後はスマートフォンやSNSの台頭による「④メディア環境の変化」。これにより、広告忌避傾向の増加、デジタル媒体の影響力の肥大化、広告の氾濫、刷り込み型広告の増加といった...