トレードショーは企業がクリエイティブなアイデアやプロトタイプを持ち寄る文字通りの商談会で、SXSWのなかでも規模の大きいプログラムだ。日本からは今年、30団体以上がブースを構えた。新規出展も多く、ジェトロの公募などによるスタートアップが複数参加した一方、大手企業の展示も目立った。

コンセプトやプロトタイプへのフィードバックを求めて
今年、初出展した三菱電機のデザイン研究所未来イノベーションセンターは2015年の設立以後、2016年よりボストンにある工科大学とともに高齢社会と食をテーマに研究を進めている。デザイン思考により創出したアイデアは、高齢者の孤独感を解消するキッチン体験。「ものをつくりきる前に世に問いたい」と、コンセプト段階で参加可能なSXSWに目を付けた。
単身高齢者が料理のチュートリアルを受けられるサービスのプロトタイプを来場者に体験してもらい、フィードバックを集める。同センター研究員の西山未央氏は、「コンセプトをテストし、検証することが参加の目的」と話す。
ヤマハが持ち込んだのは、人工知能合奏技術。AIが人の演奏をリアルタイムに解析し、連携する自動演奏ピアノがその人の弾き方に合わせ合奏してくれる仕組みだ。今回の出展に際し、博報堂アイ・スタジオと共同でAIの「気配」を感じてもらえるよう視覚化し、「共演」を体験できるインスタレーションにした。
これまでプロの演奏家やオーケストラとの共演の実績はあった。単なるシステムではなく、音楽の可能性を広げるパートナーとして、一般の演奏者にどのように楽しんでもらうか。探る機会としてSXSWへの出展を選んだ。マーケティング戦略を担当する新竹美奈子氏は、「プロトタイプやビジョンを発信して、フィードバックをもらえるチャンス」と意気込む …