SXSWで実施されるカンファレンスのテーマは多彩だ。今回視察したインタラクティブ領域だけでも17ものテーマが掲げられ、スピーカーも企業家から精神科医までさまざま。その背景について、本視察のコーディネーターを務めた本間充氏は、技術が「すでにある」状態になり、いかに活用するかに人びとの関心が移ったことにあると指摘する。どのような議論がなされたのか、本間氏にレポートしてもらった。
エンタテインメント性の追求へ Web動画広告のこれから
Web上で多くの人がコマーシャルフリーの動画配信サービスにシフトする中、企業は消費者を惹きつけるエンタテインメント性の高いコンテンツを提供する必要がある―。「Beyond Ads」と題したセッションでは、消費者と深いエンゲージメントをつくるための事例がエージェンシーなどから紹介されました。
例えばHPの動画シリーズ「The Wolf」は、プリンターのセキュリティの必要性を訴えるものですが、6分もの映画館で上映されるような質の高いコンテンツ。消費者が見たくなる映像をつくれば自然と視聴され、エンゲージメントも高くなるとの考えがあってのことです。制作費を増やし配信費用を抑制するという今までと逆の予算配分になります。
この他、スポーツ飲料ゲータレードのプロモーションにSnapchat上のゲームを活用し、スポーツファンが楽しめるようにした事例などが紹介されました。
AI活用により変わるデータ分析のあり方
AIによる機械学習は、データ分析をどう変えるのか―。コカ・コーラのセッションは、同社の「freestyle」という自動販売機を事例に、この問いについて考えるものでした。この販売機は同社のジュースを複数ミックスして楽しめるもので、米国ではスマートフォンで設置場所を探したり事前にジュースの混ぜ方を決めたりすることができます。
AIによるデータ分析にはこれまで以上に大量のデータが必要で、そのために「データ・オフィサー」を置いた、多くの時間を割いていた分析はAIが高速で行い、代わりにデータを収集・整理する時間が多くなった、などの対応も話されました。同社ではこうしたAI活用により、新商品を開発するのにかかる時間を大幅に短縮できたそうです …