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PRパーソンはどこへ向かう? 統合マーケティング時代の役割を考える

統合マーケティング時代のPRパーソンの役割を考える

マーケティングプランの立案・実行にあたって、PR的な要素を組み入れることが当たり前になってきた。一方でスマートフォンの普及や、SNS、キュレーションメディアの台頭など、消費者のメディア接触状況も日々変化を続け、PRのあり方も変わりつつある。従来のPRの枠の中で仕事をしていれば、時代から取り残されかねない。異なる立場でPRの仕事に携わる三者に、PRパーソンのこれからの役割を語ってもらった。

マーケティング課題解決に向けたシナリオとコンテンツづくり

─本日は、異なる立場でPRに関わる三人に集まっていただきました。まずは自己紹介をかねて、現在取り組んでいる仕事についてお聞かせください。

戸恒▶ ドームでマーケティングを担当しています。前職では広告会社に勤めて、4年前にドームに入社しました。当社は、大学時代アメフトの選手だった安田秀一(現社長)が20年前に創業。テーピングを中心にアスリートの安全環境面を整えるスポーツメディカル商品の輸入販売から事業を着手しました。中間業者を介さない流通形態を構築して、日本では当時1本500円程度したテーピングを180円で販売することに成功しました。それから2年後にスポーツブランドの「アンダーアーマー」と出会い、日本でのライセンスを得て、1998年に日本総代理店にもなりました。その後、事業は拡大しスポーツプロダクト事業、スポーツサプリメント事業を中心に4つの事業を展開しています。現在私の所属するブランドマーケティング部では、マス広告、デジタル、イベントなど、マーケティングアクティビティを統括しています。シームレスなマーケティングが当然になっていますので、PR発想でのマーケティングプランの立案はもちろんのこと、別途スポーツマーケティング部が担うスポーツ選手を起用したプロダクトプレイスメントの手法を、マーケティングの中心に据えて戦略を練っていて、ここ数年成功していると言えるのではと思います。

前田▶ 電通パブリックリレーションズでクライアントのアカウントマネジメント全体を担当しています。特に私のチームでは、クライアントと一緒にブランドをつくり上げていくことが主だった活動となっています。クライアントの中でも特に長く深くお手伝いさせていただいているのがスターバックスさん、最近ではフィリップ モリスさんなどもお手伝いしています。PRの役割は近年明らかに広がっており、パブリシティだけということはなく、デジタルからコンテンツ制作、最近では人事や組織づくりのお手伝いもさせていただいています。

赤坂▶ 私が所属しているインテグレートは、PR会社ではなく、名前の通り統合マーケティングのコンサルティングとコミュニケーションの実施をワンストップで行っています。オウンド、アーンド、ペイドのトリプルメディアをどう使い、統合していくのか。マーケティング課題解決に向けたシナリオ設計とコンテンツ制作を含めた統合型のエグゼキューションプランニングの活動を通して、事業会社と一緒になって、市場をつくる、人を巻き込んでいくビジネスに従事しています。PRを専門とするものとして、先ほどのドームさんの事業展開はかなり興味深いです。成長の沿革や起業理念など、もう少し伺えますか。

戸恒▶ 4年前に140億円だった売上が、今年は460億円まで成長する計画です。しかし、日本と同時期に起業したアメリカのアンダーアーマー社は売上が昨年4700億円(1ドル120円換算)まで伸び、米国内ではアディダスを抜き、ナイキに続いて、第2位のブランドになっていることを思うと、日本市場はまだまだこれからと言ったところです。

赤坂▶ 20年ほどの短い期間で、すごいですね。

戸恒▶ そうなんです。日米でどうしてこんなに差が開いてしまったのか。分析してみたところ、端的にいえば、アメリカではスポーツ市場全体が大変な勢いで産業化したのです。20年前のスポーツ市場全体(放映権や入場券すべて含み)の市場規模は、アメリカが約15兆円、日本が約5兆円。それが昨年はアメリカが約60兆円以上で日本は約4兆円とアメリカが増えている一方で日本は縮小しました。アメリカの成長の要因は色々あるのですが、具体的なことをあげると、スタジアムの改革やカレッジスポーツの育成、ESPNのようなスポーツメディアの発展、競技団体の改革、あるいは女性の競技人口の急増。さらにスポーツ市場の経営マネージメントが大きく変わって、マネージャーにMBAを取得しているような人が就くなど、ビジネスの風景が一変しました。

赤坂▶ 日本のスポーツ市場全体の成長の可能性はあるとお考えですか。

戸恒▶ 日本の市場は縮小しましたが、当社のように成長している企業もあるので、可能性はあると思います。当社としては、コミュニケーションを大小の車輪に分けて、小さな車輪ではブランドや商品の戦略的なブランディング活動を展開し、大きな車輪では日本のスポーツ市場を大きくするためにロビー活動やPRで政府への働きがけをしていく方針でいます。当社の理念は ...

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