デジタル×人工知能の切り口で、自らも画期的な事業を創出している松尾准教授の元には、国境を越えて若手起業家や産業界、官庁の人材が集う。気鋭の研究者が志向する未来とは。
卒業生はグーグル、楽天、リクルート、財務省等に就職し各分野で活躍する。注目の「GUNOSY」も研究室の学生が作ったベンチャー。シリコンバレーで起業した人、スタンフォード大学に進学してグローバルなチャンスを担う人材も。在学中に起業をする学生もいる。
データが集まる情報時代において、あらゆる企業がいま、消費者のウォンツに迫る術を模索している。
東京大学は2014年4月1日に「グローバル消費インテリジェンス寄附講座」を開講した。データサイエンティストの育成やビッグデータ分析に取り組みながら、パナソニックやリクルートホールディングスなど主要9社の企業、経済産業省とも協力し、産官学の連携で、最高マーケティング責任者(CMO:チーフ・マーケティング・オフィサー)の育成を目指す。本プロジェクトを中枢で進めるのは、東京大学工学研究科の松尾豊准教授だ。
データ解析ができるCMO人材の育成
「消費インテリジェンス」とは、データの集積や分析を効率的に行うことにより、消費者を総合的に理解するための能力を意味する。
「購買データやWebでの行動履歴データなど、グローバルな消費に関するデータが増えています。より総合的に、かつ精緻に消費者や生活者を“知る”能力を高めることが、産業界に求められていると考えています」。
デジタルマーケティングには大きな可能性があるにもかかわらず、現状ではそれを理解・運用できる人材が不足している。データ解析にとどまらず、マーケットを洞察・理解できる将来のCMO育成を視野に入れ、ビジネススキル、エンジニアスキル、サイエンススキルをバランスよく備えた人材の育成を目指す。
産と学が入り混じる複合体でマーケティングの概念を変える
半年間の講座では ...