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コンテンツマーケティング研究会

最新事例から考える「なぜ今コンテンツなのか」

大和広告

宣伝会議では「コンテンツマーケティング」をテーマとする研究会を発足。全4回にわたり、マーケティング界の第一線で活動する方たちを招いての研究会を実施していく。本記事では、第3回の研究会の様子をレポートする。

一方通行でメッセージを発信する従来型の「広告」以外の接点づくりが強く求められている中で、最近出てきているのが「コンテンツマーケティング」の発想だ。しかし、そもそも「コンテンツ」という言葉が示す範囲は広く、その概念や定義が明確になっていない部分も多い。

本研究会ではコンテンツマーケティングの概念、活用可能性などをテーマにディスカッション。3回目となる今回は国内外の最新実例をもとに、「コンテンツマーケティング」が注目されるに至った、企業側の課題について議論を行った。―――――

本研究会は創業45年を迎える広告会社、大和広告の協賛のもと開始したプロジェクト。広島県福山市に拠点を置く大和広告の花崎社長はマーケティングに関する情報発信を行う「イマジナクトラボ」を設立し、自社でもコンテンツマーケティングを実践するほか、海外のカンファレンスにも積極的に参加し、企業におけるコンテンツマーケティングの活用可能性を模索している。今回は海外のマーケティング事情にも精通し、国内でコンテンツマーケティングの企画と実践に携わる実務家3人を招いた。

インフォバーンの城口智義氏は戦略立案から構築デザイン、コンテンツ開発、運営サポート、コンテンツデリバリーの広告プランニングまで、コンテンツマーケティングの実務に関わってきた。城口氏は「今年に入って、企業の関心はますます高まっている。消費者の情報収集行動の変化への対応のほか、コミュニケーションを従来のフロー型からストック型に移行したほうが良いという考えが広まっているためでは」と話した。具体的には、コンテンツ自体が資産となるほか、オウンドメディアに流入してくるユーザーのデータを解析することで、情報資産としても活用できる点に期待を感じているという。

また花崎氏は「情報に接触できる時間に限界がある一方で、今後も情報量だけが爆発的に増えてくると思われる。情報が飽和した環境では、消費者を引きつけるコンテンツを介したコミュニケーションの『質』が今以上に大切になってくるのではないか。そんな中、大きな予算をかけられない中小企業がどうすればコンテンツマーケティングを成功させることができるのか。今、地域の企業での活用可能性を模索しているところ」と話す。

広告会社での実務経験を経て、現在は多摩美術大学の教授を務める佐藤達郎氏は、「『コンテンツマーケティング』という言葉が登場する以前、2001年にメディアへの投資の大部分を制作費に充て、自社メディア中心で展開した『BMWフイルム』が話題になった頃から、世界の広告界では『ブランデッドコンテンツ』という概念が浸透し始めた。日本でも2010年くらいには一般化した概念になった。現在の『コンテンツマーケティング』は、このあたりから始まっている潮流ではないか」と話した。

さらに『アンバサダー・マーケテイング』の監修者である、アジャイルメディア・ネットワークの藤崎実氏は「ギネスビールの『ギネスブック』のように、みんなが知って楽しかったり、面白かったりすることを編集して発信するという手法は昔からあったもの」と指摘。また、ユーザーも専門的な情報を持ち得る時代ではあるが「例えば、醤油メーカーの人たちが持っている醤油に関する知識にかなう人は、なかなかいない。その会社だからこそ持っている資産を活用し、パブリッシャーになって、消費者にとって魅力的で有益なコンテンツを発信することが、消費者との接点づくりに活かせるはず」と続けた。

大切なのは明確な目標

「コンテンツマーケティング」的な考え方は以前からあるものだが、企業がオウンドメディアを活用し、発信がしやすい環境が整ったことで、より多くの企業が実践できるようになっていること。さらに消費者を引きつけるような魅力的なコンテンツの形にして発信をしないと、情報過多の中、振り向いてもらえないというマーケティング課題。その両面があって、今注目が高まっているという点で参加者の意見は一致していた。商品をストレートに訴求する広告と違い、消費者が関心を持ち、自分ごと化してもらうコンテンツを活用したコミュニケーションは、すぐに売上につながるわけではない。しかし、「長期的な視座に立った消費者とのエンゲーメント構築は、レピュテーションマネジメントの観点からも、重要と考える企業は増えてきたように感じる」と藤崎氏。

研究会を終え、参加者からは「コンテンツマーケティングには、情報環境の変化に合わせたメッセージが届きやすい手法としての側面と、消費者の信頼を得て長期的にファンを増やしていくという側面の2つがある。そのどちらを目指すのかを明確にすることから始めるとよいと思う」(城口氏)、といった企業側への意見のほか、「企業のマーケティング活動の変化に合わせて、従来の広告会社とは異なる機能や役割も求められているのでは」(佐藤氏)というパートナー企業のあり方についての指摘も出た。

自らがコンテンツマーケティングの実践者であり、かつ広告会社として企業のマーケティング活動支援も行う花崎氏は「ざっくりと言えば、『売り込みなしでお客様、ロイヤルカスタマーを増やす仕組みづくり』が、コンテンツマーケティングだと考えている。今後も自らも発信をすることで、興味を持ってくれる人との接点をつくり、この手法を活用いただく企業の裾野を広げていければ」と話した。

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