日本唯一の広報・IR・リスクの専門メディア

           

オウンドメディア 企業のリアルを届ける 距離感が縮まる広報戦略

明確なロードマップを描き成功へ導く 成果を出すまでの5ステップ

中山順司(Faber Company)

オウンドメディアを続けることが困難になる要因のひとつに「効果が出ない・分からない」といった課題がある。オウンドメディアの効果測定のポイントについて、中山順司氏が解説する。

オウンドメディアの運営は、企業のブランド価値を高め、顧客との深い関係を築くための重要な手段です。しかし、その価値を正しく評価し、経営層に伝えることは容易ではありません。

この記事では、広報の現場でオウンドメディア運営に奮闘する皆さんに向けて、持続可能なオウンドメディア運営のためのポイントを効果測定の観点から分かりやすく解説し、経営陣に対してオウンドメディアの必要性と理解を深めてもらうための考え方を説明します(オウンドメディアの定義、意義、価値については、すでに一定の社内理解がある前提とし、本稿では割愛します)。

オウンドメディアが閉鎖してしまう理由

まずオウンドメディアの運営は、一筋縄ではいかない長丁場の戦いです。途中でつまずき、最終的にリタイアに至るには大きく4つの理由があります。

理由1 売上に直結しない

短期的な売上向上を目指して立ち上げられたオウンドメディアは、しばしば期待に応えられない結果に終わります。確かに、資料請求やリード獲得を最終目標とすることは適切です。しかし、一定レベルの認知度を獲得し、検索結果で上位に表示されるには時間が必要であり、そのためには中長期的な運営戦略が求められます。

理由2 予算の不足

コンテンツの制作には、キーワード調査、戦略設計、企画や原稿の作成、執筆、校正、修正、最終確認、入稿、拡散に至るまで、それなりの予算が必要です。しかもメディアを継続する間は固定コストになります。コストに見合った成果がないと、縮小もしくは閉鎖の可能性が高まります。成果を決めずに立ち上げてしまい、後々でコストに見合っているかどうかの判断で苦労するケースも珍しくありません。

理由3 運営にかかわる人員の不足

執筆者と編集者(編集長)への過度な負荷が原因で、運営の継続が難しくなるケースです。

  • コストを削減すべく内製化したけれど、外注費をゼロにできた代わりに社員がパンク
  • 執筆や編集の経験がないのにアサインされてしまった
  • 兼務なのでどうしても片手間になってしまう

理由は様々ですが、時間、経験、スキルといったリソース不足で更新が滞り、なし崩し的に自然消滅してしまうこともあります。

理由4 アクセスの低迷

「売りたい気持ち」が先行し、読者ニーズそっちのけで企業都合の記事ばかりを掲載すると、その記事はまず読まれません。結果、検索結果に上位表示されることもなく、人の目に触れることすらないでしょう。

売上やリード獲得以前に、一定の読者、ファンが付かなければ何も始まりません。アクセスがなければ、運営者の心が折れるか、予算が無駄と判断されて閉鎖されるかのどちらかです。

軌道に乗せて成果を出すまでの5ステップ

オウンドメディアを成功に導くためには、…

あと80%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

お得なセットプランへの申込みはこちら

オウンドメディア 企業のリアルを届ける 距離感が縮まる広報戦略 の記事一覧

いまオウンドメディアが再注目される理由
元オウンドメディア編集長対談 企業が陥りやすいポイントへの対処法を解説
丸井グループ、将来世代に向けた発信で共感醸成し「協業・共創」目指す
カルビーへの愛着を醸成 社内を巻き込み、note運用4年目へ
「ぽぽちゃん生産終了」本音綴ったnote 共感呼び1200スキ以上集まる
工芸品の魅力伝える「中川政七商店ラヂオ」企業ブランディング起点でリスナー来店の動線に
「リハビリ体験記」ほか生活密着の切り口で 理学療法士の普及とプレゼンス向上へ
東洋紡がオウンドメディアを開設まず大切なのは「社内理解」を得ること
開設から16年続く「ばね探訪」に聞く 持続的な運営のポイントとは
1カ月で50記事を公開へと導いた ログラス広報担当のサポート術に迫る
投資家、求職者、足場への無関心層など 各ステークホルダーに記事を届ける工夫とは
「世の中が知りたいこと」起点の企画で 立命館大学と社会つなぐ架け橋に
明確なロードマップを描き成功へ導く 成果を出すまでの5ステップ(この記事です)
担当者117人に聞いたオウンドメディア運営の実態
広報会議Topへ戻る

無料で読める「本日の記事」を
メールでお届けします。

メールマガジンに登録する