
ブランディングという力
パナソニックはなぜ認知度をV字回復できたのか
プレジデント社
上阪 徹/著
240ページ、1870円(税込)
パナソニックの企業認知が20代において53%―。パナソニックHDが2021年に独自調査した結果に、本書の著者である上阪徹氏は衝撃を受けた。2017年の同調査では“90%”以上を誇っていた認知率が、たった5年間で急落したというのだ。しかし、この結果を改善すべく行った様々な取り組みにより2023年の同調査における認知度は76%にまで回復した。
パナソニック企業認知の急落の裏で「何があったのか」、そして「認知度回復のために何をしたのか?」。上阪氏がその裏側を徹底取材すると、今後の日本企業に必要な「ブランディングの本質」が見えて来たという。
原点回帰で「らしさ」を体現
パナソニックHDの低迷期とも言える2022年、グループCEOに就任したのが楠見雄規氏だ。楠見氏は、思い切った経営改革を掲げ、新たなブランディング戦略に注力。ブランド部門とともに「パナソニックとは何か」を徹底的に突き詰めていった。
「楠見氏への取材で印象的だったのは、『“パナソニックらしさ”を明文化して社内外に示すのが重要である。それがなければ何を発信しても説得力がなく、企業ブランディングにつながらない』という言葉だった」(上阪氏)。
“パナソニックらしさ”を明確にするため、「原点」である創業者·松下幸之助の哲学に立ち戻った。中でも...
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