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IRの学校

IRの学校 21時限目「よりよいエスカレーションとは」

大森慎一(バンカーズ)

イラスト/もとき理川

上場財部株谷:こんばんは、今日もよろしくお願いします。

大森:こんばんは、よろしくお願いします。今日は特にお悩みがないようなので、近況を中心に雑談というところでいいかな?

株谷:そうですね、この後は久しぶりのリアルな飲み会の予定ですし。

上場:そういえば、今日、利子が少し大変だったようです。ここに来る直前まで室長に詰められていました。

財部:そうなんです。昼過ぎにかかってきた株主さまからの問い合わせ対応に手間取ってしまって。最後は室長に対応をお願いしたのですが、私の引き継ぎの方法がよくないと、お叱りを受けました。

上場:でも、難クレームだったんでしょ?仕方ないわよ。

財部:「IRの開示内容がよくない」「株価を意識しろ」、と繰り返すクレームでしたし、「上司を出せ」とおっしゃるし、難しいクレーマーだなぁと思ったんですが、室長が対応されたとたん、スムーズに話が進んで、最後は談笑に変わっていました。

株谷:「上司を出せ」って騒ぐ人にとっては、ある意味、目的を達成して満足したのかもしれないし。

財部:でも、本当にそれだけなのかな。

大森:じゃあ、少し話を掘り下げて聞いてみましょうか。

エスカレーションのルール

大森:まず、エスカレーションの定義だけど、「何らかの問題・インシデントが発生し、対応していたが、自らの権限、能力、経験では対応できない場合において、上長の指示を仰ぐか、上長に直接の対応を要請する行為」とでもしようか。

株谷:はい、問題ありません。

大森:では、杏奈さん。御社では、エスカレーションに関するルールなどはまとまっているかな?

上場:いえ、在宅ワークが増えたときに、伝言メモの取り方、引き継ぎ方は、まとめてありますが。

大森:なるほど、では、利子さん、引き継いだ内容を教えてもらおうかな?

財部:株主さまのお名前、ご住所、連絡先といった基礎情報と、クレーム内容。あと、私の回答内容です。

大森:内容の詳細は別として、特に問題はないね。では、室長からの指摘内容はどんなものだったのかな?

財部:まず、「上司を出せと言われたから、引き継いだのか?」でした。なので、私なりにマニュアルや回答事例に則って、精一杯回答したと説明しました。それなら、「答えるべき内容を説明したが、納得してもらえなかった」というやりとりを残すべきだと指導されました。

大森:なるほど、エスカレーションのルールみたいな話だね。

財部:そうですね...

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