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炎上リスクの傾向と対策

SNS時代の炎上の主な要因と3つの対応ポイント

清水陽平(法律事務所アルシエン)

自社の社員、役員や社長の発言がきっかけに大炎上に発展した時どのように対応すればよいのか。本稿ではネット上での炎上や誹謗中傷対策に詳しい筆者が、𠮷野家元常務の不適切発言を分析し、炎上タイプの分類、またそのタイプごとの対応例についてレクチャーする。

「𠮷野家の2022年の炎上」

■4月 外部講座で「生娘シャブ漬け」発言、常務を解任

𠮷野家の常務(当時)が外部の社会人向け講座に登壇した際の、「生娘シャブ漬け」発言が受講生によってSNSに投稿され、批判が集まった。

■同月 外国籍と判断した大学生の採用説明会参加を拒否

採用説明会を予約した大学生に対して外国籍であると勝手に判断し、就労ビザの取得が難しく内定が出ても入社できない可能性があるとして参加拒否。大学生本人のSNSでの批判を皮切りに、国籍を理由にした差別的扱いだと炎上。

近年は、失言が炎上を招く例や、企業CMの在り方など、色々な理由で炎上が発生するようになっている。どこから炎上が発生するのかを予測することも困難、もはや炎上と無縁に生きることは難しいとさえ言える状況だ。

また、炎上はインターネット上での発言などから発生すると思われることが多いが、実際にはオフラインの場での内容がSNS(オンライン)に“中継”されることによって炎上する事例も多い。

例えば、𠮷野家役員が早稲田大学の社会人向け講座で「生娘をシャブ漬け戦略」という発言をしたことがSNSで拡散されて炎上した件や、スシローの一部店舗において、「生ビール何杯飲んでも半額キャンペーン」のポスターが貼られていたにもかかわらず、キャンペーン開始前であるとして半額にならなかったことがSNSで拡散されて炎上した件などが挙げられる。

炎上へのタイプと対応例

❶炎上の類型

企業が炎上の中心になってしまう例を観察すると、炎上しやすいものとして、①ジェンダー型、②告発型に分類することができるだろう。

①ジェンダー型

ジェンダーバイアス(男女の役割について固定的な観念を持つこと)に基づくもの、女性を蔑視・揶揄していると捉えられるもの、女性を性的に消費していると捉えられるものなど。

②告発型

不当な扱いを受けた、不適切な発言があったとインターネット上に公開されることによって生じる炎上。告発の内容は、必ずしも違法なものに限られるわけではなく、社会一般の人から見た場合に「あり得ない」という共感を得るものであれば、炎上に至る可能性がある。

前述の𠮷野家役員による件は、ジェンダー型・告発型の両方の要素を含んでおり、スシローの件は告発型に分類できるだろう。

❷炎上時の初動対応

炎上を認知した場合、まずは指摘されている事実関係は何か、何が問題とされているのかを調べる必要がある。炎上とひとくちにいっても、虚偽内容で炎上しているのか、法的には問題ないが社会的に見れば不適切なのか、法的に非があるのか、というように状況には差異があり、これによって対応も大きく変わってくる。

以上の事実関係が確認できたら、次は対応方法の検討。対応方法としては、①静観する(引き続き注意はする)、②見解を発表する、③謝罪する、という3つに分類することができる。

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