
コピーおよびキービジュアル。キャンペーン時のすべてのコミュニケーションビジュアルに活用した(制作:JR西日本コミュニケーションズ)。
いまの若者は忙しく、動画やランディングページをはじめとするデジタルコンテンツに対して長く時間をかけてくれません。5分の動画コンテンツを最後まで観てもらうのは、もはや至難の業です。
稲田豊史著『映画を早送りで観る人たち』や、『日本経済新聞』連載企画「倍速ニッポン」※でも示唆があるように、現代の生活者、特に若年層は「タイパ(タイム・パフォーマンス)」を重視し、個々のコンテンツ消費に長い時間を使いません。YouTubeでも6秒の短い動画広告が伸びていますし、数秒でいかに印象を残し、感情の変化を促せるかが鍵となります。
※日本経済新聞朝刊 2022年9月13日、14日、16日
「拡散」を意識した施策設計
一方で、我々大学関係者においては、彼ら若年層を無視したコミュニケーションは図れません。彼らは「デジタルネイティブ」であり、同時に「SNSネイティブ」。YouTubeがテレビ代わりで、情報感度が高く、知的好奇心も強い。そして気持ちが動いた時に即座にSNSでの発信・拡散につながることが大きなポイントで、それを考慮した情報発信プランを設計する必要があります。そのような流れからも、デジタルコンテンツの効果的な利活用は各大学にとっても喫緊の課題であると捉えています。
大阪公立大学は、2021年8月末に設置認可を受けたことを踏まえ、翌月9月から2022年3月末までの半年強、開学前広報(広告)キャンペーンを展開しました。事業者選定コンペで最適プランを提案したJR西日本コミュニケーションズを委託先とし、コピー/キービジュアルの制作、オンライン広告、交通広告、JR大阪環状線ADトレイン、新聞広告、雑誌やテレビバラエティ番組とのタイアップなどの統合施策で大学の認知度向上を目指しました。
連載9・10回目(『広報会議』2022年11・12月号)でご紹介したラジオ番組提供企画も、チームは違いますがその一環となります。
本稿では、それらを実施した後の効果測定データのなかからオンライン広告に焦点を当て、見えたことや感じたことをご紹介します。
重要なのは検索時に知ってもらうこと
オンライン広告では、2021年9月に実施した入試説明会への周知・誘引広告を皮切りに、2021年11月と2022年1月・3月に3回の大きな配信の山を作りました。動画広告とバナー広告を主力とし...