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地域活性のプロが指南

まちの雰囲気をつくるのは人 表情や暮らし、姿勢を伝える

藤川明美(尼崎市)

尼崎市を好きな人を増やすために取り組んでいる尼崎版シティプロモーション「あまらぶ大作戦」。今回はその発信についてどのような考え方で取り組んでいるのかを紹介します。

市内公共施設などで配布している、「尼崎らしさ」を写真で表現したブランドブック。写真は2021年3月に配布された第1弾のもので、2022年4月には第2弾が配布されている。

尼崎版シティプロモーションは「まちの魅力を増進すること」とそれを「戦略的・効果的に発信すること」と定義しています。尼崎市では、シティプロモーションの取り組みを開始し、5年経った段階でシティプロモーション部署は広報部署と組織統合し、発信部分の強化に取り組みました。

まだまだ挑戦し続けているところですが、尼崎版シティプロモーションの「饅頭理論」(まちに関心を抱かせるメッセージが饅頭の皮とすると、あんこ部分はまちの魅力を増進するための政策や事業、職員)でいう、おいしそうな皮づくりとして取り組んでいるのは「全庁的な広報力の強化」と「人を全面に出したプロモーション」です。

全庁的な広報力の強化

今の情報化社会において、自治体広報の役割は重要視されています。これまでのような一方通行の情報発信ではなく、市民をはじめとするステークホルダーとの信頼関係を構築するため、双方向のコミュニュケーションとしての広報が求められています。その意味での広報には、シティプロモーションとしての情報発信やコミュニケーションも、もちろん含まれています。

また、自治体広報には広報紙やホームページなどの広報媒体を通じたものだけでなく、事業や施策のチラシ、住民説明会での配布資料、窓口での説明など職員が対外的に伝えるための行為やプロセスが、含まれるのではないでしょうか。

広報活動を伝えたい相手に伝わるように丁寧に行うことが、市役所やまちへの信頼に繋がると思います。そのためには職員の広報マインドやスキルの向上が必要ですが、自治体の場合は広報の部署であっても、デザインやマーケティングなどの専門知識のある職員が配属されているわけでもなく、職員だけで全庁的な広報力の強化を図るには限界を感じていました。

そこで広報の民間経験者を広報アドバイザーに登用する自治体が増えていたこともあり、尼崎市でも2019年8月から全庁横断的な情報発信のアドバイスを広報やPRの実務経験のある事業者へ委託することとしました。

具体的な内容は、各種広報媒体の効果的活用や各課が行う事業などの情報発信に係るアドバイス、広報研修などです。各課が行う情報発信に関しては、週2回事業者に庁内に常駐してもらい、事業の企画や周知方法、チラシのデザインなどさまざまな相談に対し、「誰に」「何を」「どうやって伝えるのか」を個々の内容に合わせてアドバイスを...

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