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ルール・常識のアップデート

鶴野充茂(ビーンスター 代表取締役)

ブログや掲示板、ソーシャルメディアを起点とする炎上やトラブルへの対応について事例から学びます。

イラスト/たむらかずみ

ルール・常識のアップデート
2022年6月からペットショップなどで販売される犬や猫について、マイクロチップの装着が義務化。購入などの際に飼い主の情報も登録が必要になる。

コロナ感染が広がって世界は一変したが、それ以外でも社会のルールや常識は様々な分野で変化をし続けている。犬や猫へのマイクロチップ装着がその一例だ。動物愛護管理法の改正により、犬や猫へのマイクロチップ装着が販売業者に義務化された。

迷子や飼育放棄などで自治体に引き取られる犬と猫は2020年度には7万2000匹余りに上り、マイクロチップを取り付けることで、迷子になった際や災害で離れてしまった際に飼い主を見つけやすいことや、安易な遺棄の防止に役立つのだという。1995年の阪神・淡路大震災後に、多くの犬や猫が迷子になったことをきっかけにこの制度の導入をめぐる議論が始まり、2019年6月に法律が成立した。

関連ビジネスに携わっている人たちや、ペットを飼っている人たちには当たり前の情報かもしれないが、この新たなルールを知らなかった人の中には、驚きを持って受け止める人もいるのではないだろうか。それが今回のテーマとして伝えたいポイントである。

新ルール共有は理解の土壌作り

例えば、あなたがペット販売などに携わっていて、何か別の説明のためにマイクロチップ装着時の映像をネットに出したとする。義務化の経緯などを知らない人たちがそれに反応し、「残酷だ」などと騒ぎ出したらどうなるか。クレームの電話が鳴り続けて仕事にならなくなったらどうするか⋯⋯。

もちろん、本件のような大きなルール変更の場合には、メディアも解説や特集を組むなどして理解の促進を図るだろうが、情報が行き渡らない場合も考えられる。それをひとつのリスクと捉えて、自分たちの情報発信にも取り入れて行くことが、結果的に日々の活動への理解や信頼の土壌になるのだ。

法律、常識は変化している

2022年4月に成人年齢が20歳から18歳に引き下げられる。ただし、飲酒や喫煙、競馬などの年齢制限は、これまで同様20歳のままだ。女性が結婚できる最低年齢は16歳から18歳に引き上げられ、結婚できるのは男女とも18歳以上になる。他にも、性的少数者への配慮の流れで、東京都を除く全国の46道府県教育委員会が公立高校の入学願書の性別欄を廃止している。

2021年末、厚労省の衛生管理要領という指針で、これまで「おおむね10歳以上の男女を混浴させないこと」としていた制限年齢を「おおむね7歳以上」に引き下げた。東京都などは条例を改正し、これまで9歳までとしていた制限年齢を6歳までに引き下げた。また、外来種のアメリカザリガニとミドリガメの放流が禁止されるなど変化は多い。

ルールや常識が変わり、自分たちにとっては当たり前のことの中にも、一般には浸透していないことが出てくる。それが感覚や考え方のズレとして反発などを生まないように、日頃のコミュニケーションで最新の動向をアップデートしておきたい。

社会情報大学院大学 特任教授 ビーンスター 代表取締役
鶴野充茂(つるの・みつしげ)

社会情報大学院大学特任教授。日本広報学会 常任理事。米コロンビア大学院(国際広報)卒。国連機関、ソニーなどでの広報経験を経て独立、ビーンスターを設立。中小企業から国会までを舞台に幅広くコミュニケーションのプロジェクトに取り組む。著書はシリーズ60万部のベストセラー『頭のいい説明「すぐできる」コツ』(三笠書房)など多数。個人の公式サイトはhttp://tsuruno.net/

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