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リテールインサイト徹底解剖~小売を知ればメーカーは変わる~

メーカーの営業の皆さんは、小売業との徹底的な「視座」の違いを理解していますか?

倉林武也氏(リテイルインサイト)

メーカーの営業担当は小売業への商談の際、自社の商品のポジショニングや強みをデータとロジックによってバイヤーに紹介をします。ところがバイヤーの反応や評価が十分でない、そうした経験が幾度かあると思います。そこにはメーカーと小売業の立場の違いが大きく影響しています。

小売業の課題を題材に執筆をしようと思ったきっかけに、小売業とメーカーの商談や打ち合わせに参画する中で、それぞれの「視座」の違いについて留意したことがあります。「視座」はあまり聞きなれない言葉かもしれません。「視点」や「視野」と言う言葉がありますが、「視点」はものを見るために向けられた視線がそそがれる点で、「視野」は一目で見られる範囲や視力が届く範囲を言います。では、小売業・メーカーそれぞれにおいて「視座」とは何を意味するのでしょうか?

メーカーが小売業に取り組む際に、最も大切なのは「メーカーが小売業の担当者の立場になってものごとを考える」ことです。小売業の経営や現場の店舗には様々な課題があります。近年、人口が密集する都市部でも大手企業同士による経営統合や、ローカルへの新規出店も相次ぐなど寡占化が進んでいます。

一方で、地域に密着して営業を続けてきた地場のスーパーマーケットでは、大型店のようなスケールメリットによる低価格や、割安なPB商品の充実、買い物客へのサービスなどでは対抗ができずに、単なる割引による低価格訴求という「小売業にとって最もリスクの高い展開」に追い込まれています。メーカーの営業担当が小売業と商談を行う際に、こうした背景があることを知っていると知らないのとでは、提案の内容や伝え方にも大きく差が出るのです。

実際にメーカーから提案を行う場合、あらためて小売業の立場(=視座)で考えて、次の点に注意したいと思います。

①メーカーの都合から「プッシュ型」の提案や説明になっていないか。
②小売業や店舗・売場の現状や本質的な課題を捉えているか。
③店舗の商圏を捉えているか。店舗に来店されるお客さんはどのような層か。
④小売業のバイヤーにとって話を聴きたいと思える「プル型」の提案になっているか。

メーカーの営業の立場であれば、最初に自社の商品の特徴や客層などを捉えることから始めて...

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