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ヒットの仕掛け人に聞く

ヒットの仕掛人に聞く パナソニックが単身世帯向け食洗機を開発した理由

パナソニック/パーソナル食洗機「SOLOTA」

2023年2月に発売されたパナソニックのパーソナル食洗機「SOLOTA」。食洗機の普及率を高めるため、若手中心に編成された新商品開発プロジェクトによって誕生した。その背景をプロジェクトの中心メンバーに聞いた。

    DATA

  • 商品名:パーソナル食洗機「SOLOTA」
  • 希望小売価格:37620円(税込)
  • 主な販路:公式通販サイト、家電量販店など

食洗機の普及率向上を目指して開発

──「SOLOTA」開発の背景を教えてください。

楠:若手を中心にした新しい食洗機開発プロジェクトの立ち上げが開発のきっかけです。日本における食洗機の普及率は29%程度で生活必需品とは言えない状況。普及率拡大のためにはどのような商品が必要なのかを考えていました。

食洗機の購入動機を考えると、家族が増える、住居の購入など、ライフステージの変化がきっかけになっていることが多いことがわかっています。逆に言うと、そこで存在を知らなければ検討すらされない場合も十分に考えられてしまうのです。

一方で食洗機は、家電の中でも利用満足度が高いカテゴリーで、一度使ってみると、食洗機がない生活を想像しにくくなる性質があることも事実です。そこで、人生のできるだけ早いタイミングで食洗機に触れてもらうことが大事だと考えました。

──ニーズを起点としたのではなく、ターゲット起点の開発だったのでしょうか。

楠:プロジェクトが目指していたのは食洗機の普及率向上です。明確なターゲットやペルソナも決まっていたわけではありません。ですが、プロジェクトメンバーで議論を進めていくうちに、使う食器の数が少ない単身世帯でも食器洗いは手間なのではないか、そのストレスは食器点数とは無関係なのではないか、ということに気づきました。その気づきが、現在の「SOLOTA」の若年層の一人暮らしというターゲット設定につながっています。

ターゲットのペルソナを立てるときには、得てしてこちらの都合の良いペルソナを考えてしまいがちなことも多いですよね。また、調査やアンケートの結果からつくることも多いと思います。

ですが今回は、ターゲットと世代の近いメンバーの実体験や等身大の生活をベースに、メンバー間の議論である程度「腹落ち」するところまで細かくペルソナをつくり上げました。調査を行ったのは、あくまでそのペルソナが正しいかどうかを検証する目的。これによってより実体感のあるペルソナをつくることができたのではないかと思っています。

──発売後の反響はいかがですか。

山本:2023年2月17日に発売し、5月末の時点で販売計画の1.5倍に到達しています。発売当初から想定以上の動きを見せていて、現在も実績に応じた生産の最適化を図っています。

商品
単身世帯に向けて開発されたパーソナル食洗機「SOLOTA」。「初めての食洗機」を意識し、食器洗いの様子が見えるように前後に窓を設けた。キッチンの広さも意識し、A4サイズで収まるように設計された。設置のハードルになる工事も不要のタンク式となっている。「SOLOTA」の名前は単身=SOLOに、技術で手助け(Technol...

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