今回は、一般には“禁じ手”とは思われていない、むしろ推奨されることもある「新奇性」について考察を加えていきます。なぜ、新奇性を追求しすぎてはいけないのでしょうか。そこに潜む課題を解き明かしていきましょう。
マーケティングでは差別化が重要である、と言われています。差別化できていなければ、価格で勝負するしかないからです。価格勝負は体力勝負なので、よほど体力に自信がないと難しい戦い方です。下手をすると利益を失い経営に痛手を受ける可能性があります。どうでしょう、皆さんは差別化派ですか?それとも価格で勝負派ですか?
おそらく、差別化戦略を選択する企業の方が多いのではないでしょうか。うまく差別化できれば、競合より高い値付けも可能である、とも言われています。年間で数万点の新製品が店頭に投入されるという状況をみても、差別化戦略を志向する企業が多いことが見てとれます。
実は、ここにすでに「罠」が潜んでいるのです。多くの企業が似たような商品を売っている状況であれば、それらとは明らかに異質な商品で差別化することはそれほど難しいことではありません。
しかし、現実には多くの企業が差別化を志向しているので、結局、後から出ていこうとすると、それぞれ差別化された多数の商品すべてに対して、さらに差別化をしなくてはなりません。一方で、買い手(受け手)はそうした細かい違いはあまり認識できないことが多いのです。送り手(企業)のように、常に目を皿にして商品に向き合っているわけではないからです。こう考えると、差別化戦略というのは、実は想像以上に難易度が高く、しかもその割には報われないことも多い打ち手であることがわかります。
見慣れない商品は認識できない
そうはいっても、価格で勝負するのもリスクが大きすぎるとすると、やはり差別化で...