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マーケティングの「禁じ手」十手

『つい値下げしてしまう』〜『薄利薄売』のわな

國田圭作(嘉悦大学)

第一手は“禁じ手”中の“禁じ手”、「値下げ」にまつわる売り手と買い手のインサイトについて考察を加えていきます。「マーケティングの4P」の中で価格はもっとも重要な要素であるにもかかわらず、なぜか最後に扱われる末っ子のような存在になっていないでしょうか。きちんと価格に向き合うことから始めてみましょう。

突然ですが、街の八百屋さんになったつもりで考えてみてください。あなたはメロンを700円で30個仕入れて1000円で売ることにします。仕入れたときはまだ硬くて、数は出ません。ある日、急に店頭のメロンが熟していい匂いになりました。

ここからが問題です。日一日とメロンは熟れ、このままだと傷んでしまいそうです。心配になったあなたは一気に売り切ろうと思って、900円にして「今が食べごろ」というPOPも付けました。しかし思うほど客足が伸びず、まだ10個も残っています。このままでは廃棄ロスです。廃棄するぐらいなら、と思い切って原価割れの500円の見切り価格をつけ、めでたく完売しました。1000円で5個、900円で15個、500円で10個売れたので利益は2500円です。さて、これのどこが「悪手」なのでしょうか?

一方、もう一軒の八百屋さんは、多少傷んでも絶対に見切りをしません。当然、この店ではさっきのメロンはずっと1000円。20個しか売れませんでしたが、利益はそれでも6000円です。前者の八百屋のように安くして同じ利益を出そうとしたら、数を売るしかありません。ここに「認知バイアス」、つまり「常識のわな」があるのです。それは「安くすると、たくさん売れる」という常識です。

需要は思うほど大きくない

経済学では価格を下げると需要が均衡するまで販売数が増えるとされます。実際、人口がどんどん増えて需要も多かった昭和30年代は、本当に安くすれば売れたのです。経済理論の実証を目の当たりにした経営者はもうこれを疑えません。

消費者も同様で、アンケートをとれば「高いから買わない」「安かったから買った」と...

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