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ヒットの仕掛け人に聞く

オーラルケア文脈からの脱却がターゲットインサイトに響いた

ライオン NONIO(ノニオ)

ライオンの新ブランド「NONIO(ノニオ)」が、2017年8月の販売開始以降、順調に売り上げを伸ばしている。流通からは、30歳代以下のオーラルケア支出を向上させている点が支持されているという。こうしたヒットの要因は何か。「NONIO」のブランドマネジャーを務める柳田洋顕氏は、「啓発にとどまりがちだった訴求からの脱却」にあると話す。

低関与だった若年層の支出額が増加

──2017年の発売から1年以上が経ちました。現在の販売動向はいかがでしょうか。

2019年の1~4月は、ハミガキとマウスウォッシュの既存品ベースで前年比108%なので、好調に推移していると考えています。

ブランド全体でいうと、前年比130%と非常に伸びています。これは、外出用ケアと舌ケアの両シリーズを新商品として発売し、ラインナップが増えたことも要因です。

──30歳代以下をターゲットにされていますが、実際の購買層についてはいかがですか。

当社の購買データでは、ハミガキカテゴリー全体における30歳代以下の構成比は23%となっています。「NONIO」だけを見れば39%、マウスウォッシュカテゴリーでも全体に対して、30歳代以下は23%ですが、「NONIO」は32%です。他ブランドと比べても若年層に受け入れられていることがわかります。

若年層の取り込みの一方、私たちはお客さまのオーラルケアに対する支出額を引き上げることも課題としていましたが、結果的には「NONIO」の発売前後で20歳代~30歳代の支出額が増えました。若年層の多くはオーラルケアに対する関与が低く、それまで低価格のハミガキを購入していたのですが、彼らが「NONIO」を買っている、または新たにマウスウォッシュを利用しはじめたと考えられます。

消費者の購買単価アップや、マウスウォッシュについては新規ユーザーを獲得するなど、従来、低関与だった層を取り込めた点は、流通さまからもご評価いただいています。

──若年層がオーラルケア製品を買うようになったのはなぜですか。どんな欲求を、どういった表現で、刺激したのでしょうか。

若年層はオーラルケアへの関心が低い方が多いというのが現状です。従来のような、「歯磨きしましょう」「歯科医へ行きましょう」という啓発には乗ってこない。彼ら、彼女らの態度変容を促すにはオーラルケア文脈の訴求から離れたほうがいいのではないかと思いました。

いまの若者は「嫌われたくない」という意向が強いと考えています。この世代は嫌われないように気を使い、人との距離感を測り続けている。だから、髪型などの外見や、においについても気にかけています。特に口臭は、他人ならいざしらず、自分のことはわかりづらいので悩みも大きい。

そこで、「NONIO」を使うと口臭が抑えられ、会話が弾み、対人コミュニケーションが円滑になる、「生活価値」の訴求もしっかりと行なっていくことにしました …

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