アイリスオーヤマの「ふとん乾燥機 カラリエ」が好調だ。第一弾は2015年に発売、翌16年に投入したダブルベッド対応製品と合わせ、シリーズ累計で販売台数は100万台を突破した。18年6月にはさらにノズルが2本のタイプを発売。初年度10万台の販売を目指す。
──「カラリエ」はシリーズ累計販売台数が100万台とのことですが、これほど売れた要因についてどのようにお考えですか。
ふとん乾燥機自体は、当社でも、袋の付いた従来的な製品を以前から販売していました。袋式の仕組みは、バサっと袋を出し、袋をふとんの間に入れて、その中に空気を通す仕組みです。利用者は多いのですが、それなりに手間がかかることが課題でした。袋の出し入れがとても大変なのと、製品のサイズ自体が大きいのが難点でした。
当社では、商品開発のアイデアは、開発者の経験や体験から生まれるものだと考えています。もちろん、自分のアタマだけでは限界があります。家族や友人から聞いた話がヒントになることも少なくありません。
ふとん乾燥機をよく使われる方にお話を伺うと、ご年配の方が比較的多いのです。主な利用意図をまとめると、ひとつは年齢が上がるにしたがって、ふとんを干しづらくなってくるということ。もうひとつは、冬季にふとんを温めたいということ。
人口比として高齢者が増えていくので、ふとん乾燥機の需要自体は伸びるのではないか、と考えていました。であれば、リニューアルして、より簡単に使えて、コンパクトな製品をつくろう、という案が持ち上がりました。
自社分析では、「カラリエ」だけで開発時の市場規模を上回る売上高を見せており、当製品によって市場規模の拡大に貢献できたと考えています。これは、ユーザーの使用意図に沿い、「ふとんを温めること」に特化した機能を盛り込んだことがポイントかと思います。乾かすだけでなく、ふとんを温めたいというニーズに着目したことが市場拡大につながったのではないでしょうか。
──アイリスオーヤマの家電シリーズの中でも売れ行きがいいとか。
そうですね、単品でこれほど売れることは、そうありません。当社の家電シリーズ「なるほど家電」の中で、カテゴリーで見て売れ行きがいいことはあるのですが、出荷の伸び率としては、「カラリエ」は当社の家電の中でもトップクラスです。昨年対比150%という伸び率で、安定して販売数が上がっています。
「なるほど家電」というのは、文字通りしっかりと「なるほど」と思っていただける製品を開発しようというコンセプトを持った家電シリーズです。それは「カラリエ」にも通底している考え方です。
──売れ行きのよい時期はありますか。
梅雨の時期も売れるのですが、書き入れ時となるのは、冬季です。乾燥機と言うより、「ふとん温め機」という認識のほうが強くなるのではないでしょうか。560ワットという出力は、小型電気ストーブ並みのパワーなので …