「ウィルキンソン タンサン」ブランドは2018年1月~12月累計で前年比112%の2225万ケースを販売した。無味の炭酸水市場の火付け役として、アサヒ飲料が注力するブランドのうちの一つだ。プロモーションを担当する登智子氏と芳賀俊哉氏に、ヒットの背景について取材した。
──「ウィルキンソン タンサン」はここ11年間で販売数量が約10倍となったとのことですが、そもそも炭酸水が市場を広げているのは、なぜでしょうか。
芳賀俊哉氏:ここ数年のトレンドに、有糖から無糖飲料への移行があります。その中で、炭酸水が有力な選択肢となりつつあると考えています。
登智子氏:主な要因としては、健康意識がどんどん高くなっていることが挙げられます。
かつての炭酸水は、「割り材」のイメージが強かったのですが、現在は、そのまま飲む方が約7割を占めています。
ペットボトル入りの「ウィルキンソン タンサン」を発売したのは2011年のことですが、ペットボトルが清涼飲料の容器として用いられるようになったのは比較的最近で、1982年ごろ。つまり、ペットボトル飲料が子どものときから身の回りにあったのは、現在の20歳代~30歳代前半なのです。この層は、成人後も、ペットボトル入り飲料に手が伸びやすいとも言えます。
──「ウィルキンソン タンサン」自体は、どの世代に飲まれていますか。
登氏:ボリュームゾーンは30歳代~40歳ですが、伸長率だと20歳代が最も高くなっています。
──どんな点が好評ですか。
登氏:炭酸水に求められる価値は「刺激があること」「口の中がさっぱりすること」であり、お客さまの「リフレッシュしたい気持ち」を満たす商品の代表格となっていると考えています。「ウィルキンソン タンサン」の商品開発テーマは「時代のニーズに合った最高の炭酸水」。ウィルキンソン独自の「刺激の強さ」が幅広くご支持いただいていると感じます。
芳賀氏:2011年にペットボトル入りの商品を発売し、さらに、そのまま直接飲むシーンを訴求しました。それがちょうど健康志向の追い風を受け、勢いを出せたのではないかと思います。
登氏:最近では、食事の時に炭酸水を選ぶお客さまが増えました。そのため、近年「食事と一緒に」という提案を販促・広告において強化しています。
芳賀氏:炭酸水であれば、一口ずつ口の中がリセットされるような気分が味わえます。より食事を楽しむために炭酸水を飲もう、というメッセージです。味をじゃましないのが選ばれている理由かと思います。
──小売側の反響はいかがですか。
芳賀氏:現在も炭酸水カテゴリーの市場が拡大し続けている点で、ご期待いただけていると感じます。「まだまだ伸びそうですね」という声も多いです。営業部隊も力を入れてくれています。
登氏:市場自体が広がり、それまではなかった「炭酸水」だけで棚がひとつ成立したのは、大きな前進でした。
芳賀氏:プロモーションを担当する側としても現状に甘んじることなく、さらに市場が伸びるきっかけを作りたいと考えています …