英国と日本には共通点がある。島国で、人口密度が高い。かたや武士道、かたや騎士道。象徴君主を置き、お茶が好き。全く異なる点もあるが、英国のいまは、ヒントになるだろう。現地からのレポートをお送りする。

英高級百貨店「セルフリッジズ」の日本酒コーナー。価格は十数ポンドから1000ポンド超えまでさまざま。日本人スタッフも在籍する。
今年2月、ロンドンで初めて「Sake Week」と題した日本酒のプロモーションが行われた。市内40軒以上の飲食店が参加し、期間中は日本酒の試飲や食事とのペアリングメニューなどを提供した。
ワインを飲み慣れた英国人のために、シャルドネ好きには硬水を用いてミネラル分の豊富な味わいを持つ佐賀の純米酒、ソーヴィニヨンブラン好きなら果実香が豊かな京都の大吟醸、という具合に、ワインの好みに合わせて日本酒を薦める試みもなされたようだ。
主な参加店舗は和食や和食フュージョンの店だったが、中にはチーズ専門店もあり、日本酒とチーズのペアリングセットを販売していた。「チーズといえばワイン」というイメージだが、英国では日本酒にも合うとして楽しむ人が多いようだ。
「Sake Week」のロゴにはワイングラスに漢字で酒と書かれたものがデザインされた。百貨店「セルフリッジズ」の酒類コーナーに勤める日本人スタッフによれば、日本酒の売れ筋はスパークリングや大吟醸だという。日本人なら日本酒はお猪口が一般的だが、食卓にワインがあることが多い英国では、ワイングラスで飲むのが一般的。グラスなら泡立ちや香りも一層楽しめる。
ロンドンでは、日本酒は近年特に人気を博し、今やスーパーや地元の酒屋でも、バラエティに富んだ日本酒が売られている。しかし英国に入ってきた当初は、「日本酒はウォッカのように強い酒」だととらえられていたようだ。洋酒との差別化で熱燗がまず紹介され、温めることでアルコールが際立ったことが理由だ …