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THE CITY BEYOND CITIES

世界最大の本の輸出量を誇る 英国の出版産業事情

小西純子

英国と日本には共通点がある。島国で、人口密度が高い。かたや武士道、かたや騎士道。象徴君主を置き、お茶が好き。全く異なる点もあるが、英国のいまは、ヒントになるだろう。現地からのレポートをお送りする。

大手書店チェーン「FOYLES(フォイルズ)」の本店。地上7階地下1階で、最上階はカフェになっている。

英国人は本好きだ。ロンドンの地下鉄に乗り込むと、オフィスや家までの道のりを読書で過ごす人が目につく。車内にネット環境が配備されていないことも理由かもしれないが、分厚いペーパーバックに顔を埋めたり、数年前までは電子リーダーで、現在はスマートフォンやタブレット端末で本を読む人が多い。地方へ向かう長距離電車では、その数は一層増える。

電子書籍の普及で、贈り物に本を選ぶ人は年々減少傾向にあるとされるが、現在もクリスマスプレゼントの定番アイテムは本だ。12月になると、書店はデパートやおもちゃ屋に勝るとも劣らない華やかな飾り付けで彩られ、プレゼントにおすすめの本がずらりと並ぶ。

選ばれるのは話題の本や詩集、美しい装丁の絵本やアートブック、暗く寒い冬を快適に過ごすためのインテリアガイドやヨガをテーマにした本などだ。

新年にはダイエット本や健康食レシピ集が売れ、クリスマスのごちそうを食べ過ぎてしまった体を戻し、ことしこそもっと健康になりたい、スリムになりたい、という思いが垣間見える。Twitterには、今年こそもっと読書を、というポストもある。日本でもそうだが、新年の誓いを立てる習慣は英国人にも通じるようだ。

統計によると、英国人の実に半数以上が1週間に1冊以上の本を読むという(電子書籍は4割ほど)。家事などをしながら読書ができるオーディオブックも人気だ。

高い読書熱を反映し、英国は人口あたりの出版書籍数が世界最多である。大手だけでなく、ユニークなテーマを持つ中小の独立系出版社が活躍している。英国は世界最大の本の輸出国でもあり、国の経済の一翼を担っている …

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