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エリザベスラインがついに開業 新路線は英国に何をもたらすか

小西純子

英国と日本には共通点がある。島国で、人口密度が高い。かたや武士道、かたや騎士道。象徴君主を置き、お茶が好き。全く異なる点もあるが、英国のいまは、ヒントになるだろう。現地からのレポートをお送りする。

「エリザベスライン(クロスレール)」を走る新型車両「345系」。1500人の旅客を運ぶことができ、Wi-Fiと4G通信も完備。

ことし12月、英国で130年がかりの大プロジェクトがいよいよ終着点を迎える。19世紀からの宿願である鉄道「エリザベスライン」が本格開業するのだ。

東端はエセックス州シェンフィールドから、西端はレディングまでの118キロメートルが直通する。東部はロンドン市内のアビーウッド、中央部からはヒースロー空港へもつながる。

「エリザベスライン」は元々、「クロスレール」と呼ばれていた。鉄道とロンドン市街が「クロス」するためだ。ロンドン市街部分は新たに地下鉄が走り、「エリザベスライン」のためにアビーウッドほか、新駅が10駅オープンする。

ロンドン市内の地下鉄路線では、1車両あたりの客員数は従来の2倍に、地下鉄交通容量は10%増え、そして移動時間はこれまでの半分となる見込みだ。

完成後の1日の予想利用者数はおよそ8万2000人。また、従来の地下鉄路線では50分以上かかった、ロンドン市内~ヒースロー空港の所要時間が約30分に短縮し、飛躍的に利便性が高まりそうだ。

「クロスレール」構想は1880年代にまでさかのぼる。数十年の後、ロンドン市街の人口過密解消を目的とした「大ロンドン計画」を発端として検討が始まったが、ときは二次大戦中。国会で審議が始まるのは1980年代のこととなった。

しかし問題はその費用だ。148億ポンドに上る高額な工事費用を工面するめどが立たず、法案化は30年後の2008年まで待つこととなった。

なぜ、これだけの長い間、計画が白紙にならなかったのか。その理由のひとつは、いまだロンドンには人口が集中しているためだ。2050年には現在から約100万人増え、1200万人になるという推計もある。住宅問題も慢性化しており、都心~郊外のアクセスをよくし、人口の分散を図るのは、喫緊の課題なのだ …

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