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英国ルポ

ロンドンを取り巻く アートやデザインのエコシステム

小西純子

英国と日本には共通点がある。島国で、人口密度が高い。かたや武士道、かたや騎士道。象徴君主を置き、お茶が好き。全く異なる点もあるが、英国のいまは、ヒントになるだろう。現地からのレポートをお送りする。

「ロンドンデザインフェスティバル」はことしで16回めで、9月15日から23日にかけて開催した。昨年は45万人以上が来場

秋のロンドンは、満員必至のアートフェアやオペラが開かれたり、クラシックコンサートのシーズンが幕を開けたりと、芸術関連のイベントが目白押しだ。

特に近年成長しているのが「ロンドンデザインフェスティバル(LDF)」。無料企画も多く、業界のみならず一般の英国人も注目するイベントだ。

「LDF」では、世界に名高いデザインの博物館「ヴィクトリア&アルバート博物館」(V&A)をハブとして、まるでロンドンの街全体がイベント会場のようになる。

市内各所では著名デザイナーが工房を公開し、屋外では大規模なインスタレーションが登場、ワークショップも開催する。高級家具から先進的なインテリアまで、各ジャンルの見本市も開かれ、バイヤーが集まってくる。

東京でもデザインをテーマとした催しはある。たとえば複合商業施設「東京ミッドタウン」(東京・港)では毎年、「DESIGN TOUCH(デザインタッチ)」というイベントが行われている。しかし、「LDF」とは規模以外にも大きな違いがある。それは、行政のかかわり方だ。

ロンドン市は「LDF」を街、ひいては国家の一大プロモーションととらえている。だからこそ、市を挙げて全面的にサポートするし、同時期に独自イベントも開催する。

市が主催する企画の好例は「オープンハウス」だ。9月22、23日の両日に、ふだんは非公開の最高裁判所や首相官邸、発電所などの公的施設、近年市内で進む再開発地区の建設現場や、ユニークな改築を施した個人宅まで約800の施設を無料で公開する。観客はガイド付きで、政治や社会の中枢を担う、新旧の建築デザインを見学できる。

もともと小さな村々の集合体だったロンドンでは、地域ごとに個性が息づいており、「オープンハウス」でもそれが垣間見える …

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