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THE CITY BEYOND CITIES

枝分かれして生き残る 英国小売り業のいま

小西純子

英国と日本には共通点がある。島国で、人口密度が高い。かたや武士道、かたや騎士道。象徴君主を置き、お茶が好き。全く異なる点もあるが、英国のいまは、ヒントになるだろう。現地からのレポートをお送りする。

高級スーパー「ウエイトローズ」。コスト削減のため出店数を絞り、富裕層の多いロンドン近郊をはじめとし、オンライン販売の拡張を図る。

英国の人気コメディアンに、マイケル・マッキンタイアという人物がいる。彼がステージで繰り出すジョークは人間観察に基づき、愛ある皮肉と軽妙な話しぶりが人気だ。

彼のジョークにこんなものがある。「皆さんはいつもどこのスーパーで買い物してる?『僕の妻はウエイトローズで』なんて言うと自慢になるよね!『自分は中流階級で、お金があるのよ』っていう。売っている物はほかと変わらないのに、オーガニックだからとか言って値段を釣り上げて」──。

こんなものも。「買い物の後、カートからわざわざ硬貨を抜くのがアルディの客、ウエイトローズの客はそんなことしない!」──。補足すると、英国のスーパーでは買い物カートに硬貨を入れてロックを外す仕組みがある。そして彼が得意げにカートを手放すポーズを取ると観客席から笑いが起こる。

英国の高級スーパー「ウエイトローズ」とドイツ資本の安売りスーパー「アルディ」を比べたジョークだが、近年顧客が増えているのは圧倒的に後者だ。観客もそれを知っている。だから笑いになる。

ウエイトローズは18年6月、「18年度上半期の最終利益はゼロに近い」と発表した。不振の兆しは数年前から表れており、2015年に「アルディ」に抜かれて国内シェア7位へ。その後、2018年にドイツ系安売りスーパーの「リドル」に抜かれ、8位にまで転落した。

2019年にはロンドン、マンチェスター、バーミンガム各都市の計5店舗をアルディとコープに売却するとの報道も流れた。国内シェア5位以上のスーパーも価格競争が激しくなり、統合や店舗閉鎖を余儀なくされている。

高級小売大手「マークス&スペンサー」も22年までに国内全店舗の10%にあたる100店舗超を閉鎖する計画だ。英国統計局によると最大8万人の雇用が18年上半期に失われた。小売業界全体では2万4000店舗の小売店が閉店に追い込まれている …

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