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AI・デジタルで変わる価格戦略

顧客データ活用やタブレット付きカートの先駆者 日本型テクノロジー小売 トライアルカンパニー

西川晋二(トライアルホールディングス)

九州を中心に、全国に201店鋪を展開するトライアルカンパニー。2016年度の売上高は3612億円に上る。元々はIT関連の企業だったが、創業から30年、小売業として店鋪展開を進めてきた。強みは自社開発の独自システムだ。同社はテクノロジーで小売りのあり方を変えようとしている。

トライアルホールディングス 取締役副会長グループ CIO 西川晋二氏(にしかわ・しんじ)
1982年松下電器貿易入社、87年米Panasonic(シリコンバレー支社)出向を経て93年Panasonicディスクシステム事業部、帰任。96年トレーサーテクノロジージャパン設立、代表取締役就任のち、2002年 トライアルカンパニー入社。ティーアールイー代表取締役、トライアルカンパニー グループCIOなどを歴任し、2016年7月から現職。

店頭で買いたい気持ちを刺激 パーソナライズが奏功

当社の大前提となる価格の方針は、いわゆるEveryday Low Price戦略となります。ただただ商品を山積みにしたり、低価格を訴求してみたり、そういった手段ではなく、常に低価格路線を採るということです。しかし、価格を直接に操作するわけではありませんが、ピンポイントで特定のターゲットに付与するポイントを増額するプロモーションは活用しています。

これに役立っているのが顧客データです。現在ポイントカード会員のアクティブ数は約500万人に上り、顧客ID付きPOSデータは2007年ごろから10年分、およそ100億件を蓄積しています。こうしたデータを元に、特定の顧客に対し、コスト効率のよいポイント増額施策を行っているのです。

たとえば、ある販促したい商品カテゴリーで、「購入経験がない人」「別のブランドから購入移行を起こさせたい人(購入経験の有無で判別)」もう一度買っていただきたい人、つまり「リピート購入を起こしたい人(指定商品の購入経験の有無で判別)」などと選別するわけです。実際にはもっと細かく分類しており、グループ数は50ほどにも上ります。

カミソリを対象に実施した際は、同カテゴリーの購入者(=既存客)にアプローチするのはもちろん、男性化粧品の購入者や、売り場の近いオーラル(口腔)ケアの購入者など、合計110万人を対象にしました。ポイント増額クーポンを発行したのは63万人で、利用売上高は1265万円となりました。うち新規購入者は40%ほどでした。旧来の顧客全員を対象とした値引きや、単品ポイントのバラまきよりも効果的です。

こうしたプロモーションが有効なのは、買い物は、ほぼ店頭で決まるものだからです。基本的には8割方が非計画購買なのではないでしょうか。つまり、ブランドや商品自体をあらかじめ決めて買うケースは2割ほど。何を買うか決めておらず、店を訪れて初めて欲しいものが発生し、買うことのほうが多いのです。だからこそ、店頭メディアが効果を発揮する。

パーソナライズしたポイント増額クーポンも同様で、一度使えば「またお得に買い物ができるのではないか」「どうせ買うならポイントがたくさんもらえるほうを買うか」などと、新たに商品を発見してもらい、買い物を支援する機能を果たせていると考えています。こうした取り組みを当社では「リテールメディア」と総称しています。

現状よりも、もっと多くの商品とタイアップしていきたいという考えではいます。ただ、当社は商品カテゴリー全体の売り上げを高めるべく、メーカー企業と協働体勢を敷いているので、実施のきっかけは、基本的に日常の打ち合わせ時に生まれてくるものだと思います。

タブレット端末付カート活用 その場でクーポン発行、決済も

この「リテールメディア」で、現在テストを進めているのが、タブレット端末付きカートです。このタブレット端末には ...

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