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「買う」5秒前2

隠れ市場を発掘するには、あえて世間の流れと逆行することも必要

草場 滋

かたいプリンの醍醐味はお皿に立てて食べるところ。今や彼らは“隠れ”かたいプリン派ではなく、堂々としたもの。

イラスト:高田真弓

「鉄子」なる言葉がある。鉄道好きの女性を指した造語で、2007年の新語・流行語大賞の候補になり、市民権を得た。今や鉄道はごく普通の女性の趣味である。

一般に、かつて男性の趣味といわれた鉄道に女性たちが進出したのは、漫画家の菊池直恵サンが2002年に連載を始めた『鉄子の旅』からと言われる。

だが、それ以前から「鉄子」は存在していたとする説もある。ならば――なぜ彼女たちは、かつては目立たなかったのか。答えはSNSにある。

2004年3月、「mixi」がサービスを開始した。言わずと知れた日本におけるSNSの先駆けだ。特徴的だったのは、女性の利用者が多かったこと。そこではさまざまなコミュニティが生まれ、その中に「鉄子」――鉄道好きの女性たちのコミュニティも散見され、人気を博した。

これは何を意味するか?

もともと、鉄道好きの女性たちは一定数存在したが、彼女たちはいわば“隠れ”鉄子。堂々と鉄道好きを公言できなかった。それが「mixi」で同好の士と出会えて自信をつけたのだ。例えて言うなら、鉄子が学校に1人だと、彼女はその趣味を誰にも打ち明けられないが、他の学校の鉄子たちと繋がり、市民権を得たのである。

近年、SNSの隆盛で、この「隠れ〇〇」たちが繋がり、市民権を獲得するケースが増えてきた。例えば、プリンといえば「とろける・なめらか」全盛の今、あえて昔ながらの「かたいプリン」を求める人たちがいる。彼女らは、かつて“隠れ”かたいプリン派だったが、SNSで同好の士たちと繋がることで、今や堂々と主張できるようになったのだ。

すると、そんな彼女ら向けにマーケットも反応する。あえて「かたいプリン」を売りにする店が出てきたのだ ...

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