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BOVA

1次審査員からのアドバイス(ディレクター)

オンライン動画コンテスト「BOVA」では「一般公募部門」の応募を現在、受付中です(締切:2021年2月3日)。今月は、協賛企業7社8課題についてのワンポイントアドバイスを紹介します。





1次審査員からのアドバイス(ディレクター)

磯見 大
xpd
ディレクター

この空気の中でしか生まれ得なかった作品に期待

Q1. 動画制作の際、企画の魅力を引き出すために大切にしていることは。

一般的な数分のWeb動画は、とにかくテンポだと思っています。時にはストーリーや会話の内容以上に、見ている人が体感するリズムやテンポを重視します。それは見る人の感情の上がり下がりのリズムを構築することでもあります。担当したAKB48のMV『離れていても』はコロナ下の日常を描いたセミドキュメンタリーですが、構成の時点でテンポや緩急をイメージし、必要な映像を決めた上で撮影しました。ネガティブな映像と希望を感じさせるポジティブな映像を然るべきタイミングとテンポでつなぐことで、歌詞のメッセージを伝え、見る人が前向きになれるような作品を目指しました。

Q2. 普段演出のアイデアはどこから得ていますか。

基本的に白い紙を目の前に唸りながらアイデアをひねり出すタイプですが、その前の脳を刺激する段階で最も効果的なのは、自転車やクルマに乗ること。風景や交通状況などを見ると、脳が活性化されるような気がします。また、その場で感じることや、そこに向かう途中で考えたことが、自分の中で大きなファクターになっています。ただ、この状況では中々行けないのがもどかしいです。

Q3. 2020年、つくり手としてどんな変化がありましたか。

ドラマ系のオファーを頂くことが多いため、マスクの描き方ひとつとっても、演出の常識やセオリーが変わりました。感情表現を表情に頼らずにどう描くかなど、演出家の力量が問われる状況になったと思います。また、コロナのある世界なのか、パラレルワールドなのか、劇中の設定だけでなく、見る側の前提も含め、より緻密な設計が求められています。

Q4. 応募者の皆さんにアドバイスをお願いします。

「見る人」を強く意識した作品制作を心がけて頂ければ、と思います。この状況の前と最中とで、見る人の思考や感情も大きく変化したはず。前提が変わった中で、映像表現が同じでいいはずがありません。非常事態の中ですが、この空気でしか生まれ得なかった作品を期待しています。


大森 歩
AOI Pro.
ディレクター

カジュアルコンテンツの海に溺れないように

Q1. 動画制作の際、企画の魅力を引き出すために大切にしていることは。

自分でクリックし、見ることを選択するWeb動画は、初めから広告主がわかります。だから、テレビCMよりも優等生になっちゃいけないし、マスターベーションにならないよう気をつけています。ターゲットとなる方が「観てよかった」と思える映像かどうかもポイントです。

物語を売る広告は、クライアント・企画・演出の3者が本気になってこそ成果が出るし、オンライン動画はテレビCMよりも本気か本気じゃないかわかるコンテンツだなと感じます。

Q2. 普段演出のアイデアはどこから得ていますか。

自主制作の映画や芸人さんのラジオ、同人誌も含めて漫画が好きでよく見ています。超大作もチェックしてますが、エッセイに近いようなエンタメは広告と親和性があるように思います。あとは、普段おもしろかったことや憤りなどを、SNSで日記的に記録しています。自分の記録を辿って話を探ることは多いです。年1本、短編映画もつくっているのですが、自分の日記をプリントアウトして言葉を切り貼りし、お話をつくったりすることもあります。

Q3. 2020年、つくり手としてどんな変化がありましたか。

空気の共有が減って、より1人で生きている感じがします。今まで会社のみんなと同じ部屋でコンテを描いたり、仕事が終わればチームで飲んで、楽しく生きていこうね!ってワイワイやったりしてましたが、今は自分や家族以外が何を考えているか見えにくくなりました。今までと同じように人の繋がりを謳うのもいいですが、今は孤独を育てたり、人と触れる部分をより敏感に感じたり、ダメでもいいじゃないと思える表現がある気がしています。

Q4. 応募者の皆さんにアドバイスをお願いします。

どんな…

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