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いま、消費者を魅きつけるモノ・コト

「ラーメン二郎」はなぜ、 プロモーションをせず人気店になれたのか

「二郎はラーメンではなく二郎という食べ物である」という格言が語られ、「ジロリアン」なる熱狂的なファンを生み出した人気ラーメン店「ラーメン二郎」。その人気の源泉はどこから来るものなのか。『ラーメン二郎にまなぶ経営学─大行列をつくる26(ジロー)の秘訣』の著者であり、信州大学経営大学院で教授を務める牧田幸裕氏が解説する。

『踊る大捜査線』と「ラーメン二郎」の広告宣伝の違い

田町駅から慶應義塾大学の正門を通り過ぎると、黄色い看板の下、大行列を目にします。山手通りを目黒から池尻大橋方面へ走っていると、黄色い看板の下、大行列を目にします。それは、「ラーメン二郎(以下、二郎)」の行列です。

なぜ二郎には、これほどまでに、しかも開店から閉店まで行列ができるのでしょうか。もちろん二郎はラーメン店の一つであり、マーケティング部もなければ、販売促進部もありません。当然、マーケティング戦略を構築することもないわけです。しかし、毎日大行列ができている。そこには、どのような秘密が隠されているのでしょうか。

二郎と言えば、行列です。ちょっと古い話になりますが、映画『踊る大捜査線 THE MOVIE 3ヤツらを解放せよ!』(2010年)の完成披露試写会では、東京国際フォーラムに1000人以上の行列ができたといいます。邦画で『踊る大捜査線』クラスの映画では、10億円前後の製作費がかかると言われており、映画事業では、制作費の半分ほどを広告宣伝費にかけることから、このロジックで考えれば、『踊る大捜査線』は、1000人の行列を5億円の一部で作っているわけです。

二郎は2016年6月現在、全国に約40店舗あり、一般的にどの時間でも、20人前後は並んでいます。40店舗×20人で800人。したがって、二郎の行列は、『踊る大捜査線』に勝るとも劣らずの行列だと言えます。そして、二郎がこの行列をつくるための広告宣伝費は0円です。

『踊る大捜査線』と二郎の広告宣伝の違いは何でしょうか。一番の違いは、広告宣伝の主体です。『踊る大捜査線』の宣伝主体は ...

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