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経済学の視点

ビジネス情報誌としての『慶應義塾学報』

山村英司氏(西南学院大学)

現代の三田会を通じた集金力の原点とは?

最先端の経済学では「Social image」が注目されている。ここでの「Social」(社会)とは世間一般ではなく、個人が所属する集団のことを指す。各集団には、その中で共有された価値観があり、それに合致する行動をとれば自身の立場や評価が上がる。当然、集団によって価値観は異なる。

例えば、一般的に学生が学習し成績を上げることは高く評価されるが、素行に問題がある不良グループに所属している場合、学習することや成績を上げることで制裁を受けることもあり得る。不良の仲間内のSocial imageを高めるために、学校をさぼり、劣悪な学業成績を維持するインセンティブが湧く。優等生集団ならば、真逆のインセンティブが高まる。ポイントは、自身の行動が仲間内に知れわたること。学業成績が仲間にバレなければ、Social imageが個人の行動に影響することはない。

1883(明治16)年の徴兵令改正では、官立学校の学生にのみ、徴兵猶予や免除など特典を与え私学には与えなかった。当時、政府からの弾圧によって、廃校に追い込まれた私学も多い。例えば、「明治義塾」。慶應義塾の分校のような存在で、慶應のOBたちが幹部に多数、名を連ねた。元々の校名は三菱商業学校。岩崎弥太郎が創設した教育機関である。今風に言えば、ビジネススクールのような存在で、教育内容も充実していた。失敗する要素は見当たらないが、創立からわずか6年で廃校となった。

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